宮崎アレクサンダーテクニーク講座開講のお知らせ

アレキサンダーテクニークとは

レッスンではどんなことをするのか?

アレキサンダーテクニークはこんな人も

参考文献

講座参加者の声

第9回宮崎アレキサンダー・テクニーク講座のお知らせ

日  時 2012年6月14日(木)・15日(金)・16日(土)
場  所 カワイ宮崎ショップ
講  師 小野ひとみ先生

くわしい内容はこちらをご覧ください。

※お問い合わせ,参加ご希望の方は,こちらまでご連絡ください。

アレキサンダーテクニークとは

 アレキサンダー・テクニーク(以下AT)は、一言で言えば、自分の身体のつくりや自然な使い方に気づいていく学習です。しかしそれは決して学校で習ったような「正しい姿勢」を獲得するための矯正術ではありません。ATにおいて最も重視されていることは、長い間に身についてしまっている不自然な身体の使い方にストップをかけることです。

 ATの創始者,ATの創始者,マシアス・フレデリック・アレキサンダー(1869-1955)は,若い頃,シェークスピアのひとり芝居を専門とする俳優でした。ところがようやく俳優としての道を歩き出した頃に,舞台上で声が出なくなる症状に苦しめられるようになりました。医師の治療は根本的な解決にはならず。また医師の診断ではその原因さえもわかりませんでした。

 そこで彼は,鏡を使って,自分が台詞を話しているときに何をしているのかについて徹底的に観察をしました。その結果,彼は,自分が頭を後ろに引っ張り,のどぼとけを押し下げ,口から息を吸ってあえぐようにして声を出していることに気がつきました。彼は癖として身についてしまったこれらの反応に根気よくストップをかけることから始め,やがて自然な声を取り戻すことができたのです。




 彼ほど極端ではないにせよ私たちの多くは、長い間の教育やしつけ、あるいは自分の勝手な思い込みによって不自然で誤った身体の使い方を身につけてしまっています(多くの人に見られる典型的なものに,座った状態から立ち上がる時に,無意識に頭を上にそらせ,首を縮めて圧迫してしまうことがあります)。身体のある部分の誤った使い方は,身体全体に悪影響を与えます。習慣になっている身体全体の使い方を改めなければ抱えている問題(例えば頭痛、肩こり、高い声が出ない、ミスタッチが多い、すぐに疲れる,あがり症など)は解決しません。アレキサンダーがたどり着いたこの結論こそがATの出発点なのです。

 いまやATは、演劇の世界だけでなく、音楽・スポーツ・ダンスなど数多くの分野に応用されています。


アレキサンダーテクニークとは

 アレキサンダーテクニークのレッスンは基本的にオーダーメイドです。なぜなら個々の受講者によって身体の認識の仕方や使う目的,身体の使い方の現状が異なっているからです。講師は,個々の受講者の身体の使い方を観察し,それぞれに最も適切なアドバイスを与えていきます。
 ここでは私自身が最後にレッスンを受けたときの様子を覚えている範囲で書き出して見ます。



大きな姿見(必須アイテム)の前に腰掛ける。講師は,斜めうしろに立って身体全体を観察する。

講師「ではまず楽器を持たずに立ってみましょう。はいどうですか?」

(講師は背中や腰,あごに手を触れ,ときどきその位置を微妙に修正する:ハンズ・オンという手法)

講師「考えるのは首と背中の関係だけ。首が伸びれば肩は楽になります。首を意識して」
(プライマリーコントロールというアレキサンダーテクニークの根本原理を思い出させようとしています)

講師「調節しようとするのではなくて,身体の中で自然に起きていることに注目して。それはとても楽しいこと」

講師「では楽器(ホルン)を持ってみて。持ち上げるときに方向性を考えて,小指から動かして,腕の軸を意識してください

講師「ちょっと待って。楽器を動かすときに何を考えてました?」

私「いや何も考えてなかったです」

講師「考えてなかったですね。どこまで動かすのか目標イメージを持って動かしてください。じゃあ楽器を頭の上まで持ち上げてみて,どこまで動かすのか考えてから。降ろして。今度は右に動かしてみて。はい今度は左」

講師「どの程度動かすのか考えているのは頭。だから頭がぶれると正確には動けない」

(講師が右腕を持って前後にゆする)

講師「腕はこんな風に前後に自由に動きます。それを使っていないから窮屈になる。どうですか?」

私「あ,このほうが楽です」

(右腕を肩から充分に折りたたむと吹き込み口が自然に顔の前に来るので,キーを操作する左腕の動きや呼吸が楽になっている)




 こんな調子で45分間はあっという間に過ぎてしまいます。実際にはもっといろいろなことを指摘されて,毎回コテンパンなのですが,終わったときは確かに演奏するときの身体の感覚が楽になっていて,「もっと練習したい!」と思えるようになっています。

 それと同時に,アレキサンダーテクニークのレッスンは,自分の普段の生活について見つめ直すよい機会になります。このときのレッスンではさかんに「目標を意識してから動きなさい」といわれたのですが,よく考えてみると私は普段から「何のために」「何を得るために」その仕事をしているのかよくわからないまま努力だけしているつもりになっていることが多いようです。

 また僕の場合は,楽器を使ってレッスンを受けることが多いのですが,必ずしもそういった道具は必要ありません。むしろ立ったり座ったりという基本的な動作の中に,根本的な課題が見つかることが多いようです。


アレキサンダーテクニークとは

今井信子(ヴィオリスト)

 数年前,小澤征爾さんと生徒の指導について話していたとき,彼が「あの子は頭が上がっているから」とふと口にしたことがありました。その時はなんとも思わなかったのですが,小野さんのレッスンを見ていたとき,私の中で,その言葉がはっと結びつきました。─頭が上がっているとは,身体のどこにも硬さがないということ。余裕があって,他の人の音がよく聞こえているということ。頭が,耳が,目が,開かれていること。そういうことではないだろうか?
 ヴェルビエで小野さんが言っていた「頭を上に,前に」という言葉は,いま,私自身のふだんの生活や練習の中にも生きています。アレクサンダー・テクニークはおそらく,習ってすぐに効果が出るものではなく,じわじわと蓄積されていくものでしょう。特殊なメソッドではなくて,ふだんの生活に─立ったり座ったり,話したり─自然に結びついているところがこのテクニークの素晴らしいところだと思います。(ペドロ・デ・アルカンタラ/小野ひとみ監訳『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門』春秋社,2009年)

コリン・デイヴィス(指揮者)

 アレクサンダーの「道」は,真の発見である。自分自身の思考に奴隷のように振り回されている人間でも,長年の課題を克服できる,まったく新しい術(すべ)なのである。優秀な指導者の眼差しは,まるでモーツァルトのように,私たちがいかに不合理にふるまっているかに気づかせてくれる。使いものにならない習慣,化石のように古い物事の見方に気づかせ,変化の可能性がそこにあることを教えてくれる。
 私たちはともすると,堕落した生き方(人間らしさを失うという意味では死にひとしい生き方)へ傾きがちで,人生は堕落への誘惑に満ちている。しかし,この「道」にそって歩んでいけば,そのような絶え間のない誘惑から逃れることができるのだ。(同上書)

鴻上尚史(劇作家・演出家)

 僕がアレクサンダー・テクニークと出会ったのは,ロンドンの演劇学校の授業でした。まさに,この本で小野さんが教えてくれているように,座り方からそれは始まりました。 けれど,すぐに僕は「この感じはどこかで出会ったことがある」と思いました。それは,自分の背骨を意識し,自分の頭を意識する過程で思ったことなのですが,それは,例えば,日本の「野口体操」と呼ばれるものとの近似でした。
 もちろん,それは同じものではないのですが,それでも,「からだ」を自覚し,「からだ」を気づき,「からだ」とつきあうという意味では,同じ山を登っているのだという実感はありました。
 日本に戻った僕は,すぐに,日本の優秀なアレクサンダー・テクニークの先生を探しました。
 それで出会ったのが,小野さんだったのです。
 小野さんには無理を言って,演劇界向けに何度もレッスンをしていただきました。からだに興味を持っている多くの俳優が参加してくれました。
 小野さんは,終始,柔和な笑顔で俳優たちと接してくれました。ああ,これが小野さんの魅力なんだなあと思いました。
 小野さんが,自分の背中を広げ,背骨を伸ばしてるところを俳優たちの前で実演しているときには,俳優から感動のため息が出ました。
 実際,小野さんの背中は,びっくりするぐらい広がりました。(小野 ひとみ『アレクサンダー・テクニーク:やりたいことを実現できる自分になる10のレッスン』春秋社,2007年)

スー・メリー(小学校教師)


 机に向かって作業をしている子どもを見ていると,悪い使い方を身につけると,時間が経つにしたがって,それを変えるのは難しくなると感じます。床に平らに足をつけず,曲げている子もいます。胴体がかがみこみ,腕や時には頭までもテーブルにもたれかけています。書いているほうの腕はたいてい非常に緊張し,それは鉛筆を握り締めているせいなのでしょう。これはほとんどの場合,気づきがないために起こります。
 えんぴつやクレヨンを手にとる前に,ちょっとまって,長い身長ですわっているかどうかチェックするように教えることは,不可能ではありません。アレクサンダーの教師の助けをかりて,子どもは長い背中で座る感覚を理解する必要があります。このようにして,どんな子どもも新しい技術を習得するときに,その技術と切り離すことができないものとしての自分の良い使い方を学ぶことができます。(グリン・マクドナルド/片桐ユズル監訳『図解アレクサンダー・テクニーク』産調出版,2004年)

ジャック・マクドナルド(テニスプレーヤー)

 アレクサンダー・テクニークのおかげで,長く幅広くなることに気づき,自分の腕と脚がどこから始まってどこで終わっているかを知りながら,関節を使うようになりました。そして自分の空間に気づき,姿勢がまとまるようにまり,ストロークが容易になりました。わたしは自分の身長をめいっぱい使うことができると感じています。呼吸をコントロールする力も手に入れました─突然,脳と血液に新鮮な酸素が入り,ゲームが本当に回復したのです。(同上書)

その他にもこんな人がアレキサンダーテクニークを学んでいます。

パトリック・スチュアート、ロビン・ウィリアムズ、クリストファー・リーブ、ウイリアム・ハート、キアヌ・リーブス、ヒラリー・スワンク,ポール・マッカートニー,ジョン・デューイ、バーナード・ショー、オルダス・ハクスリー

アレキサンダーテクニークとは

今私の本棚にあるアレキサンダーテクニーク関係の本の一覧です。(出版年が最近のものから)

ペドロ・デ・アルカンタラ(今田 匡彦訳)『音楽家のための アレクサンダーテクニーク入門』春秋社,2009年。

「自分」が変わる、音楽が変わる。基本原則から毎日の練習法まで、表現する心身を基礎からつくりなおす究極のメソッド。


菅裕 「書評論文<ペドロ・デ・アルカンタラ(小野ひとみ監訳 今田 匡彦訳)『音楽家のための アレクサンダーテクニーク入門』春秋社,2009年>」『音楽教育学』第40巻第1号,45-50頁,2010年。

同書の内容にそって,アレクサンダー・テクニークの原理や意義について解説しています。
小野 ひとみ『アレクサンダー・テクニーク:やりたいことを実現できる自分になる10のレッスン』春秋社,2007年。

音楽家、アスリート、演劇人、ビジネスマン…すべての領域の表現者へ贈る、心身コントロール法入門。
トーマス マーク; トム マイルズ; ロバータ ゲイリー(小野 ひとみ・古屋 晋一訳)『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』春秋社,2006年。

 鍵盤楽器奏者が知っておくべき「からだ」の問題についてわかりやすく解説し、実際の練習や演奏に生かせるようなさまざまなアイディアを紹介。オルガニストに向けた補足の説明も掲載。
バーバラ コナブル(小野 ひとみ)『音楽家ならだれでも知っておきたい「呼吸」のこと―美しく豊かな歌声のために』誠信書房,2004年。

 歌手、合唱団員、そしてその歌手を指導する指導者に向けた「呼吸」の基礎的な原則の本。歌いながら気持ちよく呼吸するために歌手ならだれでも知っておきたいことを、イラストを多用してわかりやすく解説する。
グリン・マクドナルド(片桐 ユズル訳)『図解 アレクサンダー・テクニーク』産調出版,2004年。

 不必要な心身の緊張に気づき、それをやめていくことを学習する方法、アレクサンダー・テクニーク。本書はアレクサンダー・テクニークの背景、効用、特色などを明快に説明したガイドブックです。いつも自分の心身を意識して生きていく健康の美学。
芳野香『アレクサンダー・テクニックの使い方―「リアリティ」を読み解く』誠信書房,2003年。

 アレクサンダー・テクニック(AT)は「からだの使い方を学ぶ」学習行為。アレクサンダー・テクニックを初めて知る人や、レッスンを受けている人のための、日本で初めてのアレクサンダーに関する書き下ろし。
バーバラ・コナブル(片桐 ユズル・小野 ひとみ訳)『音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと―アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピング』誠信書房,2001年。

 音楽家にとって、自分の肉体を知り、コンディションを整えることは、良い演奏のために不可欠である。本書は、肉体の動きについて正確な情報を提供することによって、音楽家を職業的に助け、安定させ、強化するための、6時間コースの講座をテキスト化したものである。ヒトの肉体運動における心身の協調作用を研究するソマティックスに基づいて、ボディ・マッピングとアレクサンダー・テクニークを紹介している。 ボディ・マッピングとは、自分の頭に描かれている自分の肉体構造と現実の肉体構造のズレを解消し、効率的で自然な動きを獲得することで、その際に必要な自己観察や自己分析と肉体動作の調整を実践する方法論がアレクサンダー・テクニークである。頭、脊椎、腕、脚などの基本的構造や自然な状態を知り、自分の肉体の負荷を取り去る。そして、演奏に適した姿勢、四肢の状態、筋肉の使い方、骨格のあり方、呼吸法などを習得する。肉体の各部同士のバランスを保つように、脳と肉体の間で情報をフィードバックさせることが重要である。 イラストを多く取り入れ、平易な実践を促す入門書としてうまく構成されている。音楽家のポテンシャルを高め、音楽教育者の参考になるのはもちろんだが、リラクゼーションや癒しのためだけでなく、音楽以外のさまざまな分野で役立つメソッドである。スランプからの脱出法にもなる。精神と肉体の協働性の大切さは、多くの人が納得することだろう。(松木晃一)

グレン・パーク(片桐ユズル訳)『アレクサンダー・テクニークによる変容の術』新水社,1999年

デボラ・キャプラン(芳野 香・和田 実恵子訳)『アレクサンダー・テクニークにできること―痛みに負けない「からだの使い方」を学ぶ』誠信書房,1999年。

 本書では、腰痛・関節炎・肩こり・坐骨神経痛などの全身に現れるしつこい痛みと症状への対処と予防を通して「からだの使い方」を学び、さらに豊かな心身の調和への扉を開く。
マイケル・ゲルブ(片桐 ユズル・小山 千栄訳)『ボディ・ラーニング―わかりやすいアレクサンダー・テクニック入門』誠信書房,1999年。

 アレクサンダー・テクニークは、ボディ「からだ」をとりもどすだけでなく、わたしたちの気づきを深め、日常生活、職業生活、創造生活のあらゆる領域におけるラーニング「学習」の革命的方法であることを本書は明快に示します。文章と写真の組み合わせにより、左右両脳的に理解を深めていきます。
バーバラ・コナブル(片桐 ユズル・小山 千栄訳)『アレクサンダー・テクニークの学び方―体の地図作り』誠信書房,1997年。

 心と体の調和を高めるために。人間に備わっている生来のすばらしい能力を取り戻してくれるアレクサンダー・テクニーク。体についての誤った認識を正し(体の地図作り)、気づきを高め、心身をより自由に楽にして柔軟性と調和を回復するためのマニュアル。
W.バーロウ(伊東博訳)『アレクサンダー・テクニーク―姿勢が変わる・からだが変わる・生き方が変わる』誠信書房,1989年。

自分がどのようであるか、どのように自分自身を使っているかについての気づきを発達させると、意識のレベルが高められ、習慣的に反応するのをやめ、自分全体をバランスさせ、エネルギーの流れがスムースになります。つまり、本当の自分自身でいられるようになります。アレクサンダー・テクニークは、どのように変化するかについての方法論を与えてくれます。


アレキサンダーテクニークとは

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