森林生産力と撹乱体制を考慮した生態的ゾーニング手法の開発

谷口　義信 (プロジェクト・リーダー)
伊藤　　哲
溝上　展也
清水　收
光田　靖
作田　耕太郎

目的

方法

研究計画

メンバー

参考文献

背景

「持続的な森林経営」が世界的に合意されて以降，生態系としての森林の健全性と生産力の維持や生物多様性の保全を実現するための<生態系管理>の視点が重要視されている。　

日本の森林では人工造林地が１千万haにおよび，そのほとんどが針葉樹の単純一斉林である。現在問題となっている公益的機能の低下や生物多様性の減少等の主な原因は，林型（一斉林という極めて単純化された森林構造が持つ問題）とゾーニング（本来配置してはならない場所に配置したこと）に分けられる。

特に、急峻な地形、複雑な地質、台風などの気象条件が多様な日本の山岳林において、ゾーニングの問題は<生態系管理>の実現において重要な課題である。　

従来の森林計画におけるゾーニングでは，木材生産，水源涵養，生活環境保全などの機能を個別に評価し，重ね合わせるゾーニングが行われている。しかし，考慮すべき機能が数多くあり，かつ，地形、地質、気象などの「土地が本来有する特性」に基づく機能と人為的に大きく変革を受けた「現在の林況」を評価する機能が混在するため，諸機能の総合化が極めて困難となっている。

加えて，生物多様性のポテンシャルを規定する攪乱などの動的因子が考慮されておらず，現在必要とされる生態系管理，例えば，人工林地帯のどこを多機能型森林へ誘導し，どこを自然植生へ修復すべきかといった問題には対応できない。

以上のように、持続的な森林経営のためには，生態系管理の実現を目的とした新たな生態的ゾーニングが必要とされている。

目的

本研究は，これまで各研究分担者が分野ごとに行ってきた防災科学，森林生態学，森林立地学，河川地形学および森林計画学で得られた土地の属性に関する研究成果を、資源（潜在的生産力）と撹乱体制（被災危険度）の２つの軸で解析・統合し，各種数値情報を活用して土地の属性から森林の本来あるべき姿とその潜在的機能を生態的に評価すること、さらにこの評価に基づいて生態的ゾーニングを行い、このゾーニングに基づく生態系管理モデルを提言することを目的とする。

研究計画(2002-2004)

メンバー

参考文献

伊藤　哲・寺岡行雄 (1994) 広域森林管理における森林情報データベースの整備―データの変動とゾーニング―，森林航測，185：1-5
Ito, S. and Marutani, T. (1993) Disturbance by debris flows and vegetation pattern in flood plain forests in a subalpine region of central Japan, Proceedings of the XV International Botanical Congress, Yokohama, Japan, p.299

Ito, S. (1994) Vegetation pattern and biodiversity in flood plain forests disturbed by debris flows, Proceedings of the VI th International Congress of Ecology, Manchester, UK, p.397

Fujii, N. and Ito, S. (2000) Classification of evergreen forests, deciduous forests and large-scale disturbance traces by using LandsatTM images, Proceedings of the 43rd Symposium of the International Association for Vegetation Science, Nagano, Japan, p.111

Ito, S., Marutani, T. and Fujii, N. (2001) Linking vegetation mosaics to geomorphology in a headwater basin, Proceedings of the 5th International Conference on Geomorphology, Tokyo, Japan, p.C-109

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