A) 学生が習得すべき技術項目
3) 魚類の同定
魚類の同定は、早く正確にするには、ある程度の科グループの特徴が分かっていれば、特に日本産のものであれば、中坊徹次編(1999)の日本産魚類検索があるので、それほどの時間は掛からない。やはり経験と年期がいる。しかしながら、学生諸君は地道に時間をかけてやるしかない。日本産魚類検索で同定出来なかった標本、あるいは同定が自信の無い場合は、次のステップで踏む。
- まずは、先生になぜ落ちなかった特徴や判断、自信の無いところを報告して、適切な指示を仰ぐ。→先生に聞くのが一番早いし、先生から知識や情報は盗むと考えたい。
- 学生がチェックしておくべきことは、日本産魚類検索の後ろのコメントとその科の文献引用を確認して最近の科のreview(レビュー)やrevision(再検討)の言葉が付いた題目の著者がないか確認する。あればそれが、その分類群の著名な専門家である。その場合出来るだけ最近の文献を優先して考えておく。先生にここ数年にそのグループの魚の重要な文献が出ていないか必ず確認しておく。
- 更に、単なる文献に出てくる学名リストをまとめただけの文献か、それが標本に基づいた分類学的研究成果に基づいたものか、更にそれらの一連の研究成果を本人、あるいいは他の研究者がまとめたものであるのかの無いかを区別しておく。
- それらの中で重要な文献と判断したものは、岩槻研究室のアクセスの文献データベースで所蔵しているかどうか確認する。あれば先生に聞いて、その文献や本を参照して同定する。それらの詳しい情報でもっても同定が難しい場合には、すぐに問題点を整理して、先生の指示を仰ぐ。
- 無ければ、最近の1983年以降の最近のものであれば宮大の図書館の「OPAC」の検索システムにより大学の図書館にある場合もある。古い文献は概ねないと思って良い。1983年以前は、データがコンピュウター化されていないので、実際図書館に出向いてカード目録を検索する必要がある。それでも無ければ、先生の許可を得て図書館に文献請求をする。
- 文献請求→国公私立大学の他大学研究機関資料の相互利用システムを利用して頼むことが出来る。この場合、文献複写と現物貸借とがある。e-mailで文献複写依頼が出来ます。→http://www.lib.miyazaki-u.ac.jp/honkan/mail_copy.htm
文献複写→http://www.lib.miyazaki-u.ac.jp/honkan/illcopy.htm
現物貸借→http://www.lib.miyazaki-u.ac.jp/honkan/illloan.htm
- かなり古い文献(戦前くらいから1700年頃位)の請求の注意事項
1930年までに報告された魚類関係の文献集の本が3巻でまとめられて出版されている。Dean (1935)が報告した。先生に聞く
- 巻(Volume)と号(number)の意味
日本の雑誌や本は、本来の巻(Volume)と号(number)の約束事が守られていないものがあるので、気をつける必要があるが、定期的な雑誌では38巻が2007年に発酵されたものなら37巻は2006年に出版されたものである。そして年に6冊の本が出版されているなら、それぞれNo.
1-6となる。
- 著者
- 雑誌名や本名の省略の仕方
別の機会に書こう。
- 文献の3つの引用方法
別の機会に書こう。Ichthyological Researchと魚類学雑誌の投稿規定を読んでください。
- ISSNとISBNとは何か?
別の機会に書こう。
- 本や文献のversionの意味するところ
別の機会に書こう。
- 文献引用とデータベース
別の機会に書こう。
- 著名な魚類学者の研究している分類群
以前は米国サンフランシスコにあるカリフォルニア科学アカデミィーのNewsletter of Systeamatic Ichthyologyに分類群毎に魚類研究者の氏名リストがあったが、現在ではない。下記にアドレスを列記しました。参考にはなるかと思う。しかし、CASのデータベースで最近の研究者名を探すことも可能である。もしGerres属、あるいはHapalogenys
nitensの種類に関係する最近の研究者がいないかどうか調べるとき、GENERA, SPECIES, REFERENCESの前の○SPECIESをまずクリックしたあと、Hapalogenys
nitensと入力する。下のSearchのボタンをクリックすると下記のように検索される。この種類の学名の出てくる最近の文献が示され、文献番号をクリックすると各文献が表示される。最後のものが最も新しい文献で、それが標本に基づいたrevisionやreviewの論文なら、必ず目を通さないと行けない報告である。この場合、最後のIwatsuki
& Russell 2006:41 [ref. 28928]をクリックすると下記のようにフル記載の文献引用が表示される。このようにして最新の情報を集める。また, 世界的な魚類情報に関する最大のサイトであるFishBaseのデータベースでは各魚種毎のあらゆる生物学的(分布、資源、成長、産卵、複数の写真等)の情報を集めることが出来る。
- nitens, Hapalogenys Richardson 1844:no p., Pl. 43
[Ichthy. Voyage Sulphur 1; ref. 3739]. Canton,
China. Holotype (unique): BMNH 1968.3.11.1. Type information: Whitehead 1970:215
[ref. 11606]. Also appeared in Richardson 1844
(June):463 [ref. 3736]. •Valid as
Hapalogenys nitens Richardson 1844 -- (Akazaki in Masuda et al. 1984:173
[ref. 6441], Cheng & Zhou 1997:304 [ref. 26385], Iwatsuki et al. 2000:133 [ref. 24256], Nakabo 2000:841 [ref. 25086], Johnson in Randall & Lim 2000:619
[ref. 25122], Sakai et al. 2001:99 [ref. 25693], Shimizu 2001:30 [ref. 25799], Shinohara et al. 2001:326 [ref. 25995], Nakabo 2002:841 [ref. 26001], Youn 2002:340, 614 [ref. 26218]). •Synonym of Hapalogenys
nigripinnis Temminck & Schlegel 1843 -- (Iwatsuki & Nakabo 2005:854
[ref. 28526], Iwatsuki & Russell 2006:41 [ref. 28928]). = Hapalogenys
nigripinnis Temminck & Schlegel 1843. Hapalogenyidae. Habitat:
marine.
- Iwatsuki, Y. and B. C. Russell 2006 [Ref ID: 28928]
- Revision of the genus Hapalogenys (Teleostei: Perciformes) with two
new species from the Indo-West Pacific. Mem. Mus. Victoria v. 63 (no. 1): 29-46.
CAS Newsletter of Systeamatic Ichthyology http://research.calacademy.org/research/ichthyology/nlsi.html
|