高感度・広帯域X線観測で探る
ブラックホール降着現象の物理

Topプログラム

日時

2019年3月5日(火)- 6日(水)

場所

京都大学北部総合教育研究棟
益川ホール
構内マップ(13番の建物)

招待講演者

磯部 直樹 (宇宙科学研究所)
大須賀 健 (筑波大学)
川口 俊宏 (尾道市立大学)
川島 朋尚 (国立天文台)
川室 太希 (国立天文台)
小林 翔悟 (東京理科大学)
志達 めぐみ (愛媛大学)
寺島 雄一 (愛媛大学)
根來 均 (日本大学)
野田 博文 (大阪大学)
信川 正順 (奈良教育大学)

世話人

上田 佳宏 (京都大学)
川中 宣太 (京都大学)
嶺重 慎 (京都大学)
森 浩二 (宮崎大学)


ブラックホール降着流は、活動銀河核 (AGN)、超高光度X線源 (ULX)、X線連星、星の潮汐破壊現象 (TDE) などの様々な高エネルギー現象の「主役」であり、宇宙進化の理解にも欠かせない研究対象である。これらは歴代のX線衛星にとって格好のターゲットであり、これまでに数々の興味深い現象が明らかにされてきた。しかし依然として

  • AGN の周辺物質・スペクトルの宇宙論的進化
  • 低光度 AGN の降着流とその環境
  • 暗い状態にある ULX のスペクトル
  • 系外銀河のX線源の人口調査(光度関数)
  • 低光度または静穏状態にある銀河系内ブラックホールX線連星の降着流
  • TDE におけるスペクトルと時間変動

といった問題は未だに十分に調べられていない。これらの天体の放射は、時間変動する複数の成分から成り、しばしば非熱的放射も伴うため、軟X線から硬X線をカバーする広帯域X線での同時観測が最も有効な研究手段である。日本の次期X線天文衛星として検討中のFORCE(Focusing On Relativistic universe and Cosmic Evolution)は、<15 ” の角度分解能で 1-80 keV の広帯域X線を同時に撮像分光する衛星で、10 keV 以上の帯域で現行の NuSTAR 衛星より10 倍高い点源検出感度を達成するという画期的な衛星であり、暗い状態や混んでいる領域にある天体の広帯域X線観測に威力を発揮する。
本研究会では、ブラックホールへの降着現象に対する現在の理解と課題を理論・観測両面から整理すると同時に、FORCE をはじめとした将来の高感度・広帯域X線観測を念頭におき、今後目指すべきサイエンスを議論することを目的とする。

3月5日(火)
12:30 – 12:50 受付
12:50 – 13:10 森 浩二(宮崎大学) 「はじめに」 pdf
13:10 – 13:40 野田 博文 (大阪大学) 「多波長観測で解き明かす巨大ブラックホール降着流の構造と状態遷移」 pdf
13:40 – 14:10 寺島 雄一(愛媛大学)「低高度活動銀河核の観測」 pdf
14:10 – 14:40 川口 俊宏(尾道市立大学)「巨大ブラックホール天体からの広波長放射モデル」 pdf
14:40 – 14:55 久保田 あや(芝浦工大学)「AGNの広帯域スペクトルの実用的モデル化:sub-Eddingtonからsuper-Eddington まで」 pdf
14:55 – 15:10 山田 智史(京都大学)「X線と中間赤外線による合体銀河中の隠された活動銀河核の研究」 pdf
15:10 – 15:30 休憩
15:30 – 16:00 磯部 直樹(宇宙研)「中間・遠赤外線と硬X線で探る活動銀河核ジェット」 pdf
16:00 – 16:30 川室 太希(国立天文台)「広帯域 X 線観測で探る星潮汐破壊現象」 pdf
16:30 – 16:45 海老沢 研(宇宙研)「セイファート1型銀河のX線スペクトル変化の起源」 pdf
16:45 – 17:00 林田 清(大阪大学)「サブ秒角を達成したMIXIMの開発の現状とスケーラブルなミッション形態」 pdf
17:00 – 17:30 ポスターディスカッション
18:00 –            懇親会

3月6日(水)
09:30 – 10:00 大須賀 健(筑波大学)「超臨界降着流・噴出流のダイナミクス~ブラックホール vs 中性子星~」 pdf
10:00 – 10:30 川島 朋尚(国立天文台)「ブラックホール・中性子星への超臨界降着流の輻射スペクトル計算」 pdf
10:30 – 10:45 五十嵐 太一(千葉大学)「Hard-to-Soft遷移中のブラックホール降着円盤の大局的3次元輻射磁気流体シミュレーション」 pdf
10:45 – 11:00 休憩
11:00 – 11:30 小林 翔悟(東京理科大学)「X線光度の時間変動を用いた超高光度X線源(ULX)における降着描像の研究」 pdf
11:30 – 11:45 井出 峻太郎(大阪大学)「近傍銀河NGC4945中で発生したX線トランジェント天体の発見」 pdf
(昼休憩)
13:00 – 13:30 志達 めぐみ(愛媛大学)「銀河系内ブラックホールX線連星の多波長観測」 pdf
13:30 – 14:00 根來 均(日本大学)「MAXI はどこまで天の川銀河の深淵を観測し何を見たか」 pdf
14:00 – 14:30 ディスカッション(モデレータ:川中 宣太)pdf
14:30 – 15:00 上田 佳宏(京都大学)「総括」pdf

ポスター発表
小川 翔司(京都大学)「クランピートーラスからのX線スペクトルモデルのセイファート1型銀河への適用」 pdf
中田諒(大阪大学)「Chandra 衛星による活動銀河 NGC 1068 中心核の空間分解観測」 pdf
池田裕香(神戸大学)「FORCEミッションのサーベイ観測によるAGNの検出数予測」 pdf
古市拓巳(大阪大学)「Blue Compact Dwarf Galaxyに存在するULXのX線観測」 pdf
松本浩典(大阪大学)「FORCE用X線反射鏡の開発の現状」 pdf
朝倉一統(大阪大学)「可視光用微小ピクセルCMOS検出器によるX線偏光検出」 pdf