SCANIIR


加速したイオンビ−ムを固体表面に照射すると、2 次電子、2 次イオンの他に光子が放出される。この光放出現象には、スパッタされた原子の光のみでなく、後方散乱された入射原子からの光および固体表面からの光が含まれている。これらの光放出現象を正確に理解するためには、スパッタリング過程、電子的励起過程(非弾性散乱過程)、表面近傍での放射および非放射脱励起過程などの知識が必要であるが、実際にこれらの過程を分離して観測することは困難で、いまだに十分に理解されているとはいえない。一般にこれらのうちでもっとも強く観測されるのは、励起中性原子からの発光線であり、このスペクトルから表面よりスパッタされた元素を同定することができる。多くの場合、200〜600[nm]の波長領域のスペクトルが利用されている。
 この測定手法は、SCANIIR(Surface Composition Analysis by Neutral and Ion Impact Radiation)「イオン衝撃光放射分析」と呼ばれている。