太陽フレアに関する論文を出版しました
XRISM に搭載されている 2 つの検出器 Xtend(左), Resolve(右)で取得した太陽フレアのスペクトル
太陽の活動が約 11 年周期で変動していることを知っていますか?2024 年はちょうどその極大期にあたり、「太陽フレア」と呼ばれる巨大な爆発現象が頻繁に発生していました。太陽フレアが起こると、放たれる X 線の量はなんと通常の 1000 倍にも達することがあります。そんな劇的な現象を、私たちは X 線天文衛星 XRISM で観測してきました。…と聞くと、「太陽を直接観測しているの?」と思うかもしれません。しかし、XRISM は太陽専用の衛星ではありません。では、どうやって太陽フレアを捉えたのでしょうか?実は、私たちは地球大気に反射された X 線を使うというユニークな方法によって太陽フレアの観測を行いました。XRISM は地球低軌道を回っているため、地球に視野が遮られる時間があります。その遮られたタイミングで太陽フレアが発生すると、フレアの X 線が地球大気で反射され、XRISM がその反射X線を観測することができるのです。この観測データをもとに、鈴木助教、倉嶋、森教授を中心に、XRISM の打ち上げから 2024 年 12 月までに検出した太陽フレアの解析を行いました。解析の結果から、フレアによるケイ素や鉄といった重元素の汲み上げと鉄の特性X線の分光について論文としてまとめ、先日、PASJ 誌に採択されました。arXiv( https://arxiv.org/abs/2509.05029 )からご覧いただけます。さらに、2025 年度天文・天体物理若手夏の学校で倉嶋がこの成果を発表し、太陽・恒星部門でオーラルアワード 1位を受賞することができました。今後もさらなる成果を目指して、研究を続けていきたいと思います。