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常緑広葉樹林域における渓畔要素の抽出と成立要因の解明
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Contents: 背景
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背景 渓畔林・河畔林などの水辺林は、陸域と水域の接点として重要な生態系である。渓畔林・河畔林では、樹冠による日射遮断、大型・小型リターの供給、流下物の補足、地下水を介しての水質形成など、陸域と水域の相互作用を通して河川生物相の生育環境に多大な影響を及ぼしている。また、渓畔林・河畔林は土砂の移動と森林動態との相互作用系でもあり、地表変動に由来する様々な撹乱が複雑な立地を提供することにより、多様な植物群落が形成される場所でもある。また、草本類を主とする多くの希少植物や絶滅危惧種が、河畔林・渓畔林をその生育地としており、保全対象としての意義は極めて大きいと言える。 目的 本研究の最終的な目標は、暖温帯の渓畔林の保全管理技術を確立することである。そのために必要な基礎的知見を得る目的で、九州南部および屋久島の暖温帯常緑広葉樹林域に残存する天然生の渓畔林の構造調査を行い、同地域の渓畔要素の抽出を試みた。また、その成立要因を明らかにする目的で、土砂の移動様式が異なる山地渓流の源頭部浸食域および堆積域の地表変動に伴う撹乱様式を調査し、地形の変異に由来する地表変動撹乱様式の違いが森林構造に及ぼす影響を、撹乱体制および土壌環境の面から解析した。 研究計画(1996-1997)屋久島低地照葉樹林域における渓畔林の組成と立地環境暖温帯浸食域における森林構造の変異と地形の対応 暖温帯浸食域の森林撹乱分布におよぼす地形因子の影響 一次谷源頭部における地質構造が渓畔林の動態に及ぼす影響 集水域における土砂の移動・堆積様式および合流が渓畔林にあたえる影響 メンバー伊藤 哲 (宮大農)野上 寛五郎 (宮大農) 丸谷 知己 (九大農) 参考文献
伊藤 哲・大住克博・金子有子・崎尾 均・鈴木和次郎・中村太士・新山 馨:水辺林管理の手引き −基礎と指針と提言−(渓畔林研究会編著),日本林業調査会,213pp, 2001 |