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国立大学法人 宮崎大学 農学部 応用生物科学科

研究内容RESEARCH

土壌肥料学研究室では、窒素の有効利用による環境保全型農業の確立を目指し日々研究を行っています。
下記に主な研究内容を記載していますのでご覧下さい。

土着ダイズ根粒菌の遺伝生態学的研究

 ダイズ根粒菌はダイズの根に感染して根粒と呼ばれる共生器官の中に生息することが出来ます。感染した根粒菌はバクテロイドと呼ばれますが大気中の窒素をアンモニアに変換する能力を発揮します。これを共生窒素固定と呼びます。固定された窒素はアンモニアとして宿主であるダイズに供給されます。窒素は肥料の3要素と呼ばれるように重要な元素であり、マメ科植物は根粒菌の固定窒素により窒素不足に陥ることはないばかりか、窒素固定能の高い根粒菌を感染させた場合はダイズ収量の増加が認められます。ところが窒素固定能の高い根粒菌を人工的に増やしてダイズに接種しても、元来土壌に生息している根粒菌と根粒着生過程において競争が起き、接種した根粒菌は負ける場合が多々あります。このため、ダイズ根粒菌の有効活用のためには土壌に元来生息している土着根粒菌を把握してそれに合わせた接種技術を開発する必要があると考えられます。そこで日本国内の土壌に生息する土着ダイズ根粒菌を分離し、遺伝子多型を利用して土着ダイズ根粒菌の分布を調べると、北と南では土着化している根粒菌が異なることが分かりました。また、土壌pHが8を超える環境では、アルカリ耐性を有する根粒菌が偏在していることも明らかになってきました。このように当研究室では高窒素固定能菌の迅速なスクリーニング法の確立、ならびに高窒素固定能菌の実用的接種菌濃度での土着根粒菌に対する競合能を強化し、接種効率の増進を図ることを目的とした研究を進めています。現在は、土着根粒菌の環境傾度(緯度や土壌pHの差)による分布がどのようなメカニズムが作用した結果起こったのかを実験的に証明しようと試みています。


植物における環境ストレス応答に関する研究

 植物は自ら移動することができないため、様々なストレス環境下にさらされることが多い生物です。そのため植物はストレスに適応するためのメカニズムを兼ね備えています。様々な環境ストレスのうち、塩ストレスを中心に研究を進めています。植物の塩ストレス耐性機構には生態的、形態的、生理的なメカニズムがあり、植物種によってその機構は様々です。近年では、分子生物学的解析手法を用いて、塩ストレス耐性植物の作出やストレス応答成分の機能解明などが行われています。当研究室では、ポリアミンと呼ばれる生体アミンが塩ストレス応答においてどのような役割を果たしているか研究を進めています。ポリアミンは真核生物において細胞増殖の必須因子であることや老化抑制など様々な生理活性をもつ物質です。ポリアミンは植物体内にも存在していますが、ストレス環境下ではその変動が非常に大きく、ストレスに適応するために変動しているのかストレスを受けた結果として変動しているのか明確な答えは出ていません。そこで植物のポリアミンがストレス環境下でどのように変動してどのような機能を果たしているか明らかにするため研究を行っています。また、遺伝資源豊富な植物種から塩ストレス耐性系統を選抜、耐性機構の解明も同時に進めています。


土壌肥料学研究室

〒889-2192
宮崎県宮崎市学園木花台西1-1

宮崎大学農学部応用生物科学科