牛の摂食行動と摂食時間管理
実験背景・目的
牛の摂食時間の変化は、牛の健康状態を示す有効な指標です。本研究の目的は、牛の分娩予測および健康管理のために、摂食時間を効果的にモニタリングする手法を確立することです。
摂食時間の変化を正確に把握することで、疾病の早期発見や分娩の予測が可能となり、酪農家の労働負担軽減と牛の健康管理の向上に貢献します。

実験環境
農工連携のもと、宮崎大学住吉フィールドから収集したデータを使用して実験を行いました。牛舎内に設置したカメラにより、牛の行動を24時間連続で記録し、摂食行動の特徴を抽出するためのデータセットを構築しています。
実験では、複数の牛を対象に、異なる時間帯や環境条件下での摂食行動を記録し、機械学習アルゴリズムの学習データとして活用しています。

実験結果
機械学習を用いることで、牛の正確な検知ができました。また、摂食時間の測定にも成功しています。具体的には、深層学習モデルを用いて牛の頭部の位置と姿勢を検出し、飼料に対する接近行動を摂食行動として認識することで、摂食時間を自動的に計測するシステムを構築しました。
本システムの精度検証では、人間による観察結果と比較して90%以上の一致率を達成し、実用的な精度で牛の摂食行動を自動検知できることを確認しました。また、分娩前の牛では摂食時間が徐々に減少する傾向が観察され、分娩予測の指標として有効であることが示唆されました。

今後の展望
本研究の成果を基に、牛の健康状態をリアルタイムでモニタリングするシステムの実用化を目指しています。さらに、摂食行動だけでなく、反芻行動や休息行動なども含めた総合的な行動分析により、より精度の高い健康管理システムの構築を進めています。
また、クラウドシステムとの連携により、複数の牧場からのデータを集約・分析することで、より汎用性の高いモデルの開発も視野に入れています。これにより、日本の酪農業の生産性向上と持続可能な発展に貢献することを目指しています。