RGBカメラを用いた歩行特徴量抽出と 歩行状態評価に関する研究
研究背景・目的
日本では高齢化の進行に伴い、要介護認定を受ける高齢者の数も増加しています。要介護となる原因の約24%は、関節疾患や骨折・転倒などの歩行に関連する要因であり、歩行機能の低下を早期に発見することが転倒予防や健康管理の観点から重要となっています。
本研究では、一般的なRGBカメラで撮影した歩行映像から歩行特徴量を抽出し、それらを用いて歩行状態を非接触かつ定量的に評価することを目的としています。
研究手法
提案システムでは、以下の流れで歩行解析を行います。
- 人物検出および追跡
- 独自に設計した19点キーポイントモデルによる姿勢推定
- 腰部の動きに基づく歩行区間検出
- 12種類の歩行特徴量の抽出
- 設定した閾値に基づく歩行評価およびスコアリング
実験環境
実験は大阪府東大阪市の商業施設において実施しました。被験者は80代の高齢者5名であり、歩行の様子を正面および側面から撮影するため、2台のRGBカメラを使用しました。
実験結果
踵とつま先を組み合わせた接地(Heel Strike)検出手法を用いることで、検出結果のばらつきを抑え、より安定した歩行イベントの検出を実現しました。
また、抽出した歩幅や歩行速度は高齢者の一般的な歩行特性と整合する結果を示し、提案手法の有効性が確認されました。
さらに、抽出した12種類の歩行特徴量に基づいて総合歩行スコアを算出するとともに、身体軸の傾きに基づく転倒リスク評価を行いました。その結果、歩行状態をA〜Dの4段階で分類し、日々の歩行状態を定量的に評価できることを示しました。
今後の展望
本研究により、一般的なRGBカメラのみを用いた歩行特徴量の自動抽出と歩行状態評価が可能であることを示しました。提案システムは、非接触での歩行モニタリングを実現し、異常歩行の早期発見や転倒リスク評価、高齢者の健康状態の継続的な把握への応用が期待されます。
今後は、特徴量間の関連性の分析、カメラキャリブレーションによる精度向上、機械学習を用いた歩行リスク予測手法の導入などに取り組む予定です。
研究補助
本研究は 公益財団法人JKAの補助(競輪の補助) を受けて実施しました。 (補助事業番号: 2025M-424)

