マルバツユクサ


    


マルバツユクサ(Commelina benghalensis L.)は,熱帯アジアを原産としたツユクサ科ツユクサ属の植物です。
同じ科のツユクサと比べて,花の色が淡く,また葉の縁が名前のとおり「丸く」なっています(写真1)。

      
     写真1 ツユクサの花


マルバツユクサは,現在アフリカ,アジア,オーストラリアを中心とした28の国々に分布しています。特に,アフリカでは主要雑草種の1つとして挙げられており,トウモロコシなどの穀物畑やコーヒー,バナナ園などを栽培している圃場で問題となっています。また,アメリカでは近年除草剤に対して抵抗性のある遺伝子を導入したワタ(遺伝子組み換えワタ)の栽培圃場で多発生しています。


日本は,現在は関東以西〜南西諸島に分布するとされていますが,最近では九州の果樹園において多発生し,問題となっています(写真2)。

      

   写真2 畑(左)と果樹園の樹の下(右)に発生しているマルバツユクサ


マルバツユクサは特異的な形質を持つことが知られています。

まず,1つの植物体の中で,地上部だけでなく地下部においても花を形成し種子を結実する生態を持っています(写真3)。

    

   写真3 マルバツユクサの地下部にできた果実(白く丸いもの)


またマルバツユクサの地上部および地下部の花が受精し結実した場合,大型・小型の2種類の種子はできます(写真4)。


        
      写真4 地上部の果実にできた種子(左)と地下部の果実にできた種子(右)

      それぞれの果実には,大型・小型の2種類の種子ができている。


現在,このマルバツユクサの防除方法や生態について研究しています。