English page is here.
水産科学講座トップページ岩槻 研究室トップページ > 研究室紹介
研究室紹介


  1. 岩槻研究室の歴史    
  2. 岩槻研究室の紹介    
  3. 魚類に興味を持つ小中高校・一般の人へ  
  4. 魚類に興味を持っている学部学生諸君へ  
  5. 学兄姉諸君が学ぶべき事項 (研究室入室)  
  6. 岩槻語録 研究とは? 研究20雑稿
  7. 独学の精神
  8. 卒論とは?
  9. 大学院修士・博士進学の心構え
  10. 研究者として生き残るためのマニュアル
  11. 海洋生物関係で広く読んでおくべき推薦図書
  12. 宮崎大学魚類学術標本   
  13. 魚類模式標本  
  14. 読んでおくべき魚類の推薦図書及び文献  
  15. 研究室所在地
   


1. 岩槻研究室の歴史的経緯と系譜

宮崎大学農学部の水産は、新制大学発足の昭和24年に農学部旧農芸化学科の中に水産化学研究室、水産生物実験室および水産実習室が設けられて、その産声を上げた。その後昭和26年(1951年)に当時の国会議員や県議会議員等や産業界の後押しを受けて、永年の県民・大学が待望していた水産学科(学生定員20名)が文部省より認可された。

最初の水産学科は水産化学講座と水産生物学講座の2講座体制で発足した。その初代の水産生物系の教授が動物学会でも重鎮であった動物学教室の寺尾新(てらおあらた)博士である(Fig. 1)。蛇足だが妻は魚類学者として有名であった石川千代松の娘であり、その影響を受けた弟子として、後に高名な魚類学者として知られるようになり、京都大学に移った松原喜代松博士もいる。その弟子の赤崎正人博士は下記に記すとおり、宮崎大学の水産に来られた。日本の戦後の魚類学の基礎を固めた人脈経緯を持つ。(寺尾新先生の書物リスト→クリック)

その後、昭和44年に水産学科を4講座の水産増殖学科に改組された。寺尾教授の後は、教育・研究の充実のために当時の水産庁から古川一郎博士(水産資源学)を教授として迎え、助教授が赤崎正人博士(魚類学・水産増殖学)、助手が平野克己博士(水産増殖学)の3人体制、昭和54年に水産増殖学科(6講座)の一つである水産増殖学講座としてスタートして、生物系の基礎基盤体制が取られた。残念ながらいずれも既に故人である。その後、動物生産学科、生物環境科学科となって、水産分野は大講座体制となった。更に平成元年には、私、岩槻が助手として採用され、その後前田昌調博士を(水産増殖学)を教授として迎えて、旧体制でいうと私を含めて現在の生物系の体制となっている。その歴史的な経緯中で、水圏生物、特に魚類の生物学的基礎研究と水産増殖学の研究は、宮崎大学の生物系研究のの長い歴史がある。そのため魚類の研究及び貴重な魚類や他の海洋生物標本の学問的資産を継承してきた。それらの経緯を岩槻研究室では引き継いでいる。





Fig. 1 晩年の寺尾 新 教授 新制大学発足の昭和24年の翌年から昭和33年3月まで宮崎大学で教鞭をとられた。


2. 岩槻研究室の紹介

岩槻研究室(水産科学講座)では,水圏生物、特に魚類の資源、生態、および分類、あるいはそれに関係する魚類の進化、種分化、多様性、生活史、群集構造、分布、及び保全についいて,形態や遺伝学的手法を用いて精力的に研究しています。

研究している水圏生物は主として魚類です。複雑な生物学特性を明らかにして,形態や遺伝子の視点から人類と魚類の共存を解明することを目指しています。魚類の群集構造に絡む魚類の多様性や分類では、沿岸性の水産重要魚類の基礎的知見の蓄積では,体が銀白色系の水産上重要な沿岸性魚類(タイ科、アジ科、クロサギ科、タチウオ科、ツバメコノシロ科等)の形態や遺伝学的研究では、全地球規模で解析を進めており,大きな成果を挙げています。

これらの研究成果を通じて,魚類の生態系・生物多様性、進化的成り立ち等をより深く魚類の世界を理解すること,すなわち,多様な魚類が織りなす地球の豊かな自然が,どのようなメカニズムで,どのようなプロセスを経て水産資源が維持形成されてきたのかを深く理解することと、それらを利用する我々人類との共存に対する資源問題の解決の方向性を導き出すことが最終目標です。

3. 魚類に興味を持つ小中高校・一般のみなさまへ  

みなさん、サカナと言うと何を思い浮かべますか? 日本では別の呼び名では「おとと」と言ったり、宮崎県では「びび」とも言うそうですが、単に食料としての刺身や、あるいはお寿司でしょうか? 私は大阪の町中で育ちましたが、公設市場には必ず数件の魚屋さんが有り、海の魚屋さんが普通、必ず2-3軒ぐらいはありました。その内一軒はかならず淡水魚の魚屋さんでした。

今や地方でも都会でもあまり普通の魚屋さんは無くなってしまったように思います。現在では魚はスーパーで売っている刺身になったものと、あっても数種類の鮮魚と焼き魚や煮付け用の解凍の魚程度しか売っていないです。
なんと寂しいことか。これが昔の魚屋さんでは地場や近海で漁獲された様々な種類の、季節感ある安い魚が売っていました。何種類かの魚が混ざって山で売られていることも多かったです。母親とともによく買い物に行き、魚屋で色々な種類の魚を、都会のど真ん中であったにも関わらず、身近にサカナをみて育ちました。種類の混ざった山で売られている魚を買ってきて、色々な種類の魚の天ぷらを食べていました。この種類はうまい、これはあまりうまくないなどと、兄弟で味見をして育ちました。一方、淡水魚の魚屋さんは、活魚が種であり、コイ、ウナギ、フナ、およびモロコ等ぐらいで、淡水魚に較べて海にはほんと多くの種類の魚類がいるんだなと普通に実感して育ったものと思います。

しかし、魚類の生息する湖沼、川、海は、私たちの眼では中々そこで行われている営みは簡単には見せてくれません。実際に見にいかないと水の中で何が起こっているのか容易には分からないのです。どんな魚がいるのかも分かりません。

今でこそ生物の多様性という言葉がありますが、
海の中では多様な魚類達の十分に分かっていない世界があります。「人間の開発が自然に及ぼす影響がいかに大きいか、海が如何に分かっていないか、人と生物、特に魚類と人とが共存するにはどうしたらいいか?」という難題を、物言わない魚類の視点に立って学生とともに日々考えています。故郷の自然や世界の魚類資源を21世紀にも残すにはどうしたらいいのか、一緒に考えようではありませんか?


4. 魚類に興味を持っている学部学生諸君へ
授業科目について-魚類学、水域資源生態学、および水族分類学実験を含めて海洋生物やその関係に関するあらゆる授業を広く履修して頂きたい。さらに自分の興味を持つことや、今後に役立つことは、積極的に興味を持って履修しおくこと。

私の研究分野に興味があり、大学院学生または日本学術振興会の博士研究員(日本人の特別研究員及び外国人特別研究員を含む)として私の研究室に所属したいと思われるのでしたら、上記の電子メールアドレスまで直接お知らせ下さい。特に大学院を受験される方は、必ず予め御連絡下さい。また大学などの研究機関に限らず動物園・博物館・企業・NGO・個人の方からの共同研究の御提案も歓迎致します。研究室訪問は常に歓迎致しますが、電子メールで予定を打ち合わせて御訪問下さるとより確実かと思います。


研究室について
  
 (1) 研究分野、研究方法
      海洋生物、特に魚類の多様性、資源、分類、保全、分子遺伝
   (2) 卒業研究の具体的テ−マ

  
    1. 形態学的研究と遺伝学的研究から個別分類群の多様性、レビュー、類縁系統
      2. 分子を用いた魚類の集団遺伝学的研究、種判別や遺伝的多様性の把握と資源集団構造解析
      3. 東アジアの大陸棚の固有性魚類の分類、生態、資源学的研究
      4. 魚類の希少種の保全に関する研究

 
  (3) 学生への希望
      特に、生物が大好きで、やる気と元気がある人、また話好きなら誰でも大歓迎です!
      将来の就職とその活動について真剣に考えている人
      外国に調査に行くことも多いので、パスポートは必須で、片言の英会話が出来ればなお良し。
      障害になる昼間のアルバイトをしていない人
      協調性のある人


   (4) その他
      大学は義務教育ではないので、
自主性と独学の精神が求められます。


5. 学兄姉諸君が学ぶべき事項
  自分が足らないと思っていることに時間を作り、トコトン、エネルギーをかけないとやはり成長はないでしょうね。また本当の意味で楽しさは出てこないでしょうね。
  少し真面目に、そして真剣に考えてみたらやりたいことが自分に沢山あることに気づくはずですね。世の中、誘惑が多いので、無駄なことをしないように気をつけましょうね。でも済んだことは後悔しても仕方がない!
  学兄姉諸君、当たり前ですが、一生は一回ですよ! 


6. 岩槻語録研究とは? 研究20雑稿


卒研生・大学院生のための

教育研究20雑稿(Ver.3.3)

                                                        平成20216

                                                               岩 槻 幸 雄

 大学及び大学院教育について一言、言っておきましょう。学生側に立てば、それぞれの学生が、固有の能力の限界ぎりぎりのところで努力を惜しまず学び、そうすることで自らの学ぶ力を鍛え延ばしてゆく機会に恵まれることに他ならない。また、教員側に立てば、教員がどれだけ各専門分野で活躍し、研究教育活動に生き生きと意見を学内及び学外で交換しているか、また教員がどれだけ個々の学生を固有名詞でアイデンティファイし、学生と情報交換を行っているか、また努力をどの程度行っているかという点である。つまり、教育とは、学生も教員も相当な努力しなければ、教育は成り立たないということである。この一見当たり前のことを認識していない学生および大学教官も多いことも事実として認識する必要がある。



1)毎日を大切にしろ    
   前の日に、まず明日何をやるか頭を整理しろ、週間、季節、及び年間計画にはじっくり時間をかけること。これが出来な   いものは、どの世界(分野)にいっても通用しないし、前に行かない。この意識があるだけで1年で考えると、ものすごい差と   なるでしょう。

2)論文は直ちに主題に入れ
   何を明らかにするのか自分でいつも自問自答しろ!

  目的のないところに結果もない

3)形式論理学の規制を守ること

  分からなければ、辞書を引け!

  このためには、専門語(日本語と英語)をいつも意識して覚えろ!

  各分野の約束は、常識であり、知らなかったら勉強不足と思え!

4)研究を始めると同時に論文を書き始めよ!

  材料と方法は、今からでも書ける

  文献は、データベース化しろ!

5)理論は滅びても事実は残る:事実の発見を重視せよ   生物自身から学べ、生物そのものが先生である。

6)理論論文はそのための特別な理論的作業によって書け:それだけを重視せよ

  頭の中で考えてもダメ、文章にして考えろ!

7)重要な発見をするよりも、自分の発見を重要なものにすることに努力すべきである

  自分の目で確かめろ!

8)最初に自分が取り扱った動物群の権威になれ

  少なくとも自分の研究する日本産の科や目ぐらいの種類数、学名及びその種の特徴ぐらい知っておけ!

9)大学院生は博士課程修了までに少なくとも、ファーストオーサーで最低5編の論文を受理されなくてはならない

  必ずしも論文は数ではないが、1年1報は目安である。修士の間に1報位の論文が書けるようにしたい。
10)ある人の最良の著者はふつう処女作である

   文章が、頭に浮かんでくるくらい何度も読め

11)日本語のくわしいメモを作って英文論文をかけ

  メモ魔になることが、結局最大の力になる

12)国外との関係についての2、3

   外国の有名な人の論文を文献請求しろ!

   日本の国際学会には必ず出席せよ

   日頃から英会話、手紙、論文等に親しみ、英語を道具にしろ!

13)若い友人こそが教師である 友人を求めて旅せよ

   他大学の友達を作れ、いろいろ情報を教えてもらえ!

   井の中の蛙になるな

14)自分が乗り越えるべき小数の巨人を定め、その人の書くものは全部読む事を勧める

   内田恵太郎 稚魚を求めて 岩波書店

15)書籍を自分で買う事を惜しんではならない

   借金してでも買いなさい。 16)自分の関係のある論文のでる雑誌を創刊号から現在まで通覧せよ。

   魚類学雑誌、日本水産学会誌、Copeia、Zootaxa、       言葉や研究の歴史的経過やあらゆる言葉学べる。

17)後輩の指導を自分から進んでやれ

   後輩に教えることは、自分が本当に勉強して分かっていなければ教えるこ

   とは出来ないことは自明である。

18)どんな機械やソフトをも使いこなせ

   マニュアルをじっくり読め、分からなければ本を買って勉強しろ!

   基本的な、顕微鏡、写真、コンピューター、ソフト   

19)自分は馬鹿だということを認識しろ 決して天狗になるな

   自分の弱点やいい点を本当に認識してこそ、自立が始まり、そこから人は成長

   する。

20)自分の足で立て

   世の中に出たら、歪曲された見方や人の意見を簡単に信用するな。

   本に書いてあることをそのまま信用するな!


7. 独学の精神
  大学に入学して希望の学科に入学できても、その分野のすべての講義や実験があって学べるわけではない。例えば研究の過程で学術用の写真を撮影する必要が生じれば、最低限の撮影技術や最近のデジタルカメラによる印刷までを考えたデジタルファイルの扱い方の最低限の知識が直ちに要求される。
 そのような知識は通常芸術・写真系の大学や大学院、あるいは写真専門学校にいかないと誰にも具体的には教えてもらえない。しかし、一度デジタルカメラの構造や撮影技術に関する本、あるいはデジタルファイルの扱い方の本を、基本から体系的に自分で学べば、大きな間違いを犯すことはない。つまり、ある分野の知識が自分に欠けていると思ったら、その分野の本をじっくり体系的に一読することを勧めます。
 いまやインターネットの世界から多くの情報や知識を仕入れることが可能な世界となっている。こんな便利な世界を使わない手はない。写真撮影は何回もチャンスはなく、シャッターチャンスは1回である。日頃からの経験と知識がある意味試されている結果が、1枚の写真の善し悪しの結果として如実に現れるのです。若いときに自ら何でもどん欲に知識を仕入れてやろうという独学の精神をもっていたら、10年後や20年後には、知らぬ間にその人は大きな成長をすると思います。
 興味をもって自分で色々学ぶことは、ほんと楽しいことです。


8. 卒論とは?
 一言でいうのは難しい。しかし、1年程度で何か研究した結果を、その分野の考え方に基づいてまとめて、新知見をどう解釈するのか、また見方をどのようにまとめて提示するかということを試されている物ということは出来ると思います。英語で書かれた論文を読んだり、それをゼミで発表したり、あるいはデータをまとめて中間報告をしたり、その中で自分の知らないことを調べたりしながら理解を深め、別のアイデアが浮かんだりして、そのアイデアの遂行するためのサンプルを採集するために新たに人と交渉したりするでしょう。その過程の中で研究の方向性を変更したりしながらも、最後には1年間やってきた結果をまとめる必要があります。そしてみんなの前で自分がやってきた結果を分かりやすく図や表を作成して発表することになります。また、卒業論文も平行して進めて提出します。結構、大変です。でも楽しいですよ!
 人が生きていく時、人は社会生活を営む動物であり、卒論研究の過程というのはある意味、社会の中で求められている「実務能力」ともいえます。研究結果の善し悪しは、テーマにより1年でやるには難しい場合もあり、また先生方もよく分かっていないから研究するのであるので、簡単には前にいかないと理解しているでしょう。結果を気にせず、真実を知ろうとする行為は、人間の成長、歴史の証です。


9. 大学院修士・博士進学の心構え
 これも一言でいうのは難しい。覚悟していく、という考え方もあるが、私は知識を得ることや研究が楽しいから行くと考えたい。大学院修士はテーマに沿って、研究のイロハを学び、その成果を公表出来る実務能力としての研究者としての最低限の免許を持つということか。博士号は自立して自分の足で立って研究計画を進められる能力を身につけるという意味にもなるかもしれない。従って博士号は研究者の免許である。自動車の免許と同じで、研究者なら普通のことである。必死でやれば、博士号ぐらい誰でも取得出来ます。
 次の本の一読を勧める。米国科学アカデミー編(池内 了訳) 科学者をめざす君たちへ −科学者の責任ある行動とは− (株)化学同人,
東京、 90 pp. (On being a scientist RESPONSIBLE CONDUCT IN RESEARCH)

10. 研究者として生き残るためのマニュアル
   研究者として確実に生き残るためのマニュアルみたいな便利なものはない。私が知りたいくらいだ。が、自分が研究していることは、おもしろくてすごいと自分で思い、この分野では日本では誰にも負けない、いや世界でも負けないという自負を持って研究を続けていくことです。いずれその成果が真実であり、その世界で認められると、遅かれ早かれ研究者として生き残れると思います。

学生さんより少し長生きしている自分からみて、強いて言うとすると、これも実際難しいのだが、世間の常識というか、人としてコミュニケーションがとれない人は、難しいでしょう。いくら学生時代にいい研究が出来ても、コミュニケーションの取れない人は、チャンスを掴め無い人もたくさんみてきました。また、研究者として職を得たら、なんと全く研究しなくなる人も多くみてきました。


11. 海洋生物関係で広く読んでおくべき●推薦図書および手元に置いておくべき☆購入図書や図鑑

●基礎生物学関係
1)
2)

●魚類学関係
1) 日本の魚―系図が明かす進化の謎 (中公新書) 上野 輝弥 坂本 一男 (新書2004年)
2) 魚の分類の図鑑―世界の魚の種類を考える 上野 輝弥 坂本 一男 (単行本 - 2005/7)
3) シーラカンス―はるかな古生代の証人 (講談社現代新 1992) 上野輝弥
4) 現代の魚類学 上野 輝弥 沖山 宗雄 (単行本 - 1988/1)
5) 海の生き物100不思議 (単行本) 東京大学海洋研究所 (編集), 東大海洋研究所= (編集) 東京書籍 (2003/07) ISBN-10: 4487798779ISBN-13: 978-4487798773

6) 魚類学概論





●遺伝関係
日本語
木村資生著『生物進化を考える』(1988年,岩波新書)
木村資生著(向井輝美・日下部真一訳)『分子進化の中立説』(1987年,紀伊國屋)
斎藤成也著『遺伝子は35億年の夢を見る−バクテリアからヒトの進化まで−』(1997年,大和書房)
斎藤成也監訳『DNAから見た生物進化』(1998年,日経サイエンス別冊)
根井正利著(五條堀孝・斎藤成也訳)『分子進化遺伝学』(1990年,培風館)
長谷川政美・岸野洋久著『分子系統学』(1996年,岩波書店)
宮田隆著『分子進化学への招待』(1994年,講談社ブルーバックス)
宮田隆編『分子進化−解析の技法とその応用−』(1998年,共立出版)
Li W.-H. and Graur D.著(舘野義男・山崎由紀子訳)『分子の進化』(1994年,廣川書店)1)
英文
Avise J.C. (2000) Phylogeography. Harverd University Press.
Graur D. and Li W.-H. and (2000) Fundamentals of molecular evolution (second edition). Sinauer Associates.
Hillis D.M., Moritz C., and Marble B.K. eds. (1996) Molecular systematics (second edition). Sinauer Associates.
Kimura M. (1983) The neutral theory of molecular evolution. Cambridge University Press.
Li W.-H. (1997) Molecular evolution. Sinauer Associates.
Nei M. (1987) Molecular evolutionary genetics. Columbia University Press.
Nei M. and Kumar S. (2000) Molecular evolution and phylogenetics. Oxford University Press.
Page R.D.M. and Holmes E.C. (1998) Molecular evolution: a phylogenetic approach. Blackwell Science.

●多様性と分類関係
1) 岩槻邦夫・馬渡編 1996年 上島励 3系統樹を作る。54−87バイオダイバーシチィシリーズ1
2) 石川他 長谷川政美 2004 分子系統で探る進化の歴史53−91 シリーズ進化学@ マクロ進化と全生物の系統分類 

●教養書
西村三郎 魚類学の歴史や海洋生物地理学について発展してきた経緯や生物の分布の視点のバックグランドが深まるものが多く、若い諸君に下記の本を強く推薦します。

  • 1) 日本海の成立 生物地理学からのアプローチ 築地書館, 1974 →所持
  • 2) 地球の海と生命 海洋生物地理学序説 海鳴社, 1981 →所持
  • 3) 動物の起源論 多細胞体制への道 中公新書, 1983
  • 4) 未知の生物を求めて 探検博物学に輝く三つの星 平凡社, 1987 →所持
  • 5) リンネとその使徒たち 探検博物学の夜明け 人文書院, 1989 のち朝日選書 →所持
  • 6) チャレンジャー号探検 近代海洋学の幕開け 中公新書, 1992 →?所持 
  • 7) 文明のなかの博物学 西欧と日本 紀伊國屋書店, 1999 →所持
  • 8) 毛皮と人間の歴史 紀伊國屋書店, 2003
  • 9) 原色検索日本海岸動物図鑑[I]. 保育社,大阪. 1992.

      ※図鑑部分ではなく、最初に日本近海の生物地理について概説があります。1981年の本の内容を少し発展させています。

●生物地理関係(バイブル的な本)

Ekman, S. 1953. Zoogeography of the sea. Sidgwich & Jackson, London.→所持

Briggs, J. C. 1974. Marine zoogeography. McGraw-Hill, New York.
 

●日本近海の海洋生物地理

西村三郎. 1981. 地球の海と生命:海洋生物地理学序説. 海鳴社,東京.

西村三郎. 1992. 原色検索日本海岸動物図鑑[I]. 保育社,大阪
 

●海洋生物地理全体についてのレビューは以下の文献が非常に参考になります。

関口秀夫. 1995-1996. イセエビ類の生活史 55-61 生物地理. 海洋と生物98-106.

  ※連載ものです。

日本ベントス学会編. 2003. 海洋ベントスの生態学. 東海大学出版会,東京.

  ※第7章の生物地理学で朝倉彰氏が詳述しています。

●水産関係

手元に置いておくべき☆購入図書
1) ICZN(1999)
2)


12. 宮崎大学魚類学術標本(MUFS: Miyazaki University, Fisheries Sciences)

宮崎大学農学部生物環境生産学科水産科学講座に所蔵されている魚類学術標本は、 MUFSとして国際的に認知されており、登録標本件数は約2万3千点です。未登録のも のを含めると約5万点以上の標本があるが、残念ながらまだ全標本の登録および同定 整理等がなされていません。


これら魚類学術標本は広く世界の沿岸性の海産魚類を中心に集められてきています が、特にタイ科とフエダイ科魚類はほぼ全世界の種類が所蔵されています。また、重要な南九州を含む宮崎県産の魚類標本も多くあり、将来を考慮して遺伝学的な研究もできるようエチルアルコールで保存、あるいは魚類組織のデータベース化もされ始め ています。


本大学の貴重な魚類学術標本は、近年広く世界の魚類研究者から認知され、上述の 2科のみならず、沿岸性海産魚類の標本の借用依頼がアメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、フランス、スペイン、ロシア、オーストラ リア、シンガポール、インドネシア、タイ、インド、イスラエル、および南アフリカの大学や 研究所等からの問い合わせも多く、魚類標本の早急な整理が必要な段階に来ていま す。


13. 宮崎大学農学部水産科学講座所蔵の魚類模式標本

 魚類の模式標本は、その魚類標本に基づいて新種記載された極めて重要な魚類学術標本で、国際的に認知されています。本学の登録されたMUFS番号の模式標本は、近年 私の研究室で精力的に研究が進み、学生の新種記載論文も含めて魚類標本は急速に増加しつつあ り、その研究過程で現在下記の魚類の模式標本を保管、あるいは研究室の精力的な研究により新種報告や新模式標本(neotype designation)の研究があります。


フエダイ科 Lutjanidae
Lutjanus stellatus Akazaki, 1984 和名 フエダイ

チョウチョウウオ科 Chaetodontidae
Prognathodes guyotensis Yamamoto & Tameka, 1982 和名 ウラシマチョウチョウウオ

クロサギ科 Gerreiodae
Gerres akazakii Iwatsuki, Kimura & Yoshino, 2007 和名 セダカダイミョウサギ
Gerres chrysops Iwatsuki, Kimura & Yoshino, 1999  
Gerres filamentosus Cuvier, 1829 (Neotype Designation) 和名 イトヒキサギ
Gerres infasciatus Iwatsuki & Kimura Yoshino, 1997
Gerres microphthalmus Iwatsuki, Kimura & Yoshino, 2002 和名 ヤマトイトヒキサギ
Gerres mozambiquensis Iwatsuki & Heemstra, 2007 
Gerres phaiya Iwatsuki & Heemstra, 1999
Gerres ryukyuensis Iwatsuki, Kimura & Yoshino, 2007 和名 ヤンバルクロサギ
Gerres silaceus Iwatsuki, Kimura & Yoshino、2000
Gerres shima Iwatsuki, Kimura & Yoshino, 2007 シマクロサギ

イサキ科 Haemulidae
Hapalogenys analis Richardson, 1845 (Neotype Designation) 和名 セトダイ
Hapalogenys meruguiensis Iwatsuki, Satapoomin & Amaoka, 2002
Hapalogenys sennin Iwatsuki & Nakabo, 2005 和名 ヒゲダイ
Hapalogenys dampierensis Iwatsuki and Russell, 2007  
Hapalogenys filamentosus Iwatsuki and Russell, 2007

ヒイラギ科 Leignathidae
Gazza rhombea Kimura, Yamashita & Iwatsuki, 2000 和名 ヒシコバンヒイラギ
Nuchequula longicornis Kimura, Kimura & Ikejima, 2008
Nuchequula flavaxilla Kimura, Kimura & Ikejima, 2008

トウゴロウイワシ科 Atherinidae
Atherinomorus aetholepis Kimura & Iwatsuki, 1997

ツバメコノシロ科 Polynemidae
Polydactylus bifurcus Motomura, Kimura & Iwatsuki, 2001
Polydactylus longipes Motomura, Okamoto & Iwatsuki, 2001
Polydactylus malagasyensis Motomura & Iwatsuki, 2001
Polydactylus persicus Motomura & Iwatsuki, 2001
Polydactylus siamensis Motomura, Iwatsuki & Yoshino, 2001

タチウオ科 Trichiuridae
Trichiurus australis Chakraborty, Burhanuddin & Iwatsuki, 2005
Trichiurus nickolensis Burhanuddin & Iwatsuki, 2003
Demissolinea novaeguineensis Burhanuddin & Iwatsuki, 2003 (nov. gen.)
Evoxymetopon macrophthalmus Chakraborty, Yoshino & Iwatsuki, 2007 和名 ヒレナガオオメユメダイ

タイ科 Sparidae
Dentex abei Iwatsuki, Akazaki & Taniguchi, 2007 和名 キビレアカレンコ
Acanthopagrus akazakii Iwatsuki, Kimura & Yoshino, 2006
Acanthopagrus taiwanensis Iwatsuki & Carpenter, 2006
Acanthopagrus randalli Iwatsuki and Carpenter, 2009
Acanthopagrus omanensis Iwatsuku and Heemstra, 2010

フサカサゴ科Scorpaenidae
Scorpaenospsis orientalis Randall & Eschmeyer , 2001 和名 トウヨウウルマカサゴ

ソトイワシ科 Albulidae
Albula oligolepis Hidaka, Iwatsuki & Randall, 2008

14. 研究室所在地
・農学部実験実習棟南棟4階S410研究室(下記の図の 1の棟)→図をクリックすると拡大します。


 
 
 
 
宮崎大学農学部 宮崎大学農学部生物環境科学科 水産科学講座