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研究内容

2008/1/9 新種発見!



Hapalogenys sennin Iwatsuki and Nakabo, 2005 完模式標本(holotype) MUFS 11649, 体長232 mm


我国のヒゲダイ属ヒゲダイは、Hapalogenys nigripinnis (Temminck & Schlegel, 1843)として100年以上知られてきた。しかしながら、その学名は中国、台湾及び日本 で知られてきたヒゲソリダイHapalogenys nitens Richardson, 1844とされてきた種類と同じあることが、模式標本の調査から最近、私と京都大学総合博物館の中坊徹次 教授とともに判明した(Iwatsuki and Nakabo, 2005)。従って、動物命名規約の先取権の原則により、前者のnigripinnisの方が1年古く、ヒゲソリダイの学 名はHapalogenys nigripinnis (Temminck & Schlegel, 1843)とすべきで、一方、ヒゲ ダイの特徴を持つ種類は従来報告されていないことを確認したので、ヒゲダイの学名は無いことにな ります。

つまり、名無しのゴンベだったのです!

ヒゲダイという立派な和名はあったが、学名が無い。つまり誰も報告をしなかったので未記載種、

要するにほんとに新種なのです。

世の中、あんまりこのようなこ とはないが、ありふれた魚で、実は学問上は学名が無く、新種だったというようなこ ともあるのですね。

そこで格言、初学者諸君、「ありふれた種類は要注意、気をつけろ!」 です。

日本では100年以上、ヒゲダイとヒゲソリダイは区別されてきたが、ヒゲダイには学名がないので学名をつけてあげる必要があります。共著者の中坊徹次氏と相談し、ヒゲダイは宮崎県の日南海岸沿岸岩礁域では、本属魚類の類似種、ヒゲソリダイ等は、群れを作り集群するようなヒゲダイより若干深いところで生活します。しかし本属では本種のみ、浅い水中観察から岩礁域周辺で単独行動を行っており、岩場の穴の中に入ったりしています。なんか孤独な魚のよう に見えます。また、長いあごひげを持つこと、下顎が尖り、風貌が何となく「仙人」 に似ていることから、学名もsenninと命名することにしました。

本種の模式産地は、宮崎県南郷町目井津漁港地崎であり、日南海岸の浅い岩礁域でみられる。なお、他海域では、高知、和歌山、静岡県伊豆半島、神奈川県三浦半島、あるいは日本海でもみられ、我国の固有種であることが明らかとなりました。

近年減少気味であるので若干憂慮しています。一方本属魚類は世界的にもレビューされて居らず、FAOから分類学的研究は急務とされていた。最近、私とオーストラリアのBarry C. Russell博士(Northern Territory, Australia)と 共著で更にフィリピンとオーストラリアで更に2新種が見つかり、本属は1属7種いることが明 らかとなりました(Iwatsuki and Russell, 2006)。なお、本属は未だにイサキ科Haemulidaeにいれられていることが多いのですが、帰属が不明です。


文献

  • Iwatsuki, Y. U. Satapoomin, and K. Amaoka. 2000.2. New Species, Hapalogenys merguiensis, from Andaman Sea (Teleostei: Perciformes). Copeia 2000(1): 129-139.
  • Iwatsuki, Y. and T. Nakabo. 2005. New species of Hapalogenys from Japan Copeia 2005(4): 854-867.
  • Iwatsuki, Y. and B. C. Russell. 2006. Revision of the genus Hapalogenys (Teleostei: Perciformes) with two new species from the Indo-West Pacific. Memoirs of National Museum of Victoria, 63(1): 29-43.

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