研究内容


当研究室では、主に計算生物学医療に関連した情報システム開発を学生の研究テーマとしています。

  計算生物学

当研究室は計算生物学(Computational Biology)や生命情報学と呼ばれる生物データを計算機を使って解析する研究を行っています。 これは情報技術を駆使して生命科学に関する問題を解決していく分野になります。

この分野では、開発系(情報システムを開発する)、解析系(既存手法で生物データを解析する)、 理論系(新しい方法論を開発する)といった多様なアプローチがあり、生命科学問題を直接的に解析するものから、 それらを支援するソフトウェア開発など多岐にわたります。例えば、ゲノム解析、タンパク質構造解析、オミクス解析、 バイオイメージング解析、バイオデータベース等で検索してみてください。

計算生物学は主に、バイオインフォマティクスとシステム生物学の研究分野に分けられます。

  バイオインフォマティクス(Bioinformatics)

バイオインフォマティクスという言葉は生命情報学と訳されることが多く、生物+情報というキーワードが単語の中に入っていることから、 生物データを計算機を使って解析する研究を総称して(広義として)使われることが多いです。

しかし、実際にはバイオインフォマティクスの研究では、生物データでも遺伝子やタンパク質を構成する DNAやアミノ酸の配列(連なり)立体構造(3次元構造)に着目して、研究が行われています。 当研究室では、実際にはこういった解析は対象としていませんが、遺伝子診断や創薬の現場では 活発に研究が進められています。
(広義のバイオインフォマティクス=計算生物学 と考えてもらうとよいです)

  システム生物学(Systems biology)

システム生物学は、遺伝子やタンパク質などの生体分子のつながりに着目した研究です。ヒトをはじめとした生物は、 細胞から構成されています。細胞は遺伝子やタンパク質などの分子をもとに作られていますが、遺伝子やタンパク質は1種類ではなく、 数万~数十万種類あると言われています。これらの分子が結合や解離などの関係をもつ(つながりをもつ)ことで細胞を構成していきます。 また、各種類の遺伝子やタンパク質は細胞内に1つずつ存在するのではなく、増えたり減ったりすることで、 細胞内での役割を果たすことが知られています。

こういった細胞内の複数の種類の遺伝子やタンパク質のつながりがどのように協調(制御)しあうことで、 細胞は生きているのか、または異常をきたすのか(病気になるのか)を解析します。こういった細胞内の分子メカニズムの 設計原理(システム)を研究しています。
当研究室では、主にシステム生物学の研究を行っています。

+++

下記のサイトの動画や本が参考になると思います。



  医療に関連した情報システム開発

医療に関連する行動や記録などを効率よく行うための情報システムの開発を行っています。 医療従事者だけでなく、患者や一般人からの視点で救護やリハビリを支援する情報システムを考え、アプリケーションとして開発を進めています。 画像処理技術や音声処理技術などを利用して、直感的でユーザビリティの高いシステムの開発を目指しています。 研究成果はまとまり次第、一般の人にも使いやすい形で公開していきたいと思います。

...
胸骨圧迫判定アプリケーションの開発

このアプリケーションは胸骨圧迫(心臓マッサージ)が正しく行えているかをカメラを通して判定するシステムです。 救助者の不安を取り除くために、リアルタイムに救助者の胸骨圧迫の動きを判定するためのWebアプリケーションになっています。実際の現場や訓練で利用することを想定しています。
技術的には、姿勢推定のプログラムを利用して、カメラに映った人の姿勢を取得します。その人の動きが正しい胸骨圧迫になっているかを手首や肩の位置の動きを判定することで実装しています。 判定結果は文字だけでなく、音声で通知することで、救助者が確認できるようにしています。救助中の映像をモザイクをかけて保存できることで、救助行為の確認ができ、 かつプライバシーに配慮しました。詳細な利用方法とアプリケーションのページは下記から利用できます。(端末の外部にデータ送信(例えば,カメラ映像など)はされていませんので安心してご利用ください。)