研究紹介

1.木材を原料とした環境低負荷型バイオリファイナリー技術の開発

木材細胞壁の主成分であるセルロースは、加水分解することでグルコースに変換することができ、エタノールのような様々な有価物の原料になります。しかしながらこの工程には別の主成分であるリグニンを化学的に除去するなどの多くの手順を必要とするため、低コスト化の研究が盛んです。本研究室では担子菌の持つリグニン分解能と糖化発酵能を組み合わせた効率的なプロセス構築を目指しています。

木材からのバイオリファイナリー技術の開発木材からのバイオリファイナリー技術の開発


2.森林微生物間の相互作用の解明

森林環境には多くの微生物が存在していて、多様な相互関係(お互いに助け合っている)を形成し生息しています。木材腐朽(木材が腐る)過程では、主な分解者として働くのはきのこの仲間である木材腐朽菌と考えられていますが、同じ環境に共存している細菌類(バクテリア)がどのような役割を果たしているか良く分かっていません。最近、私達はある種の細菌が木材腐朽菌の成長を助けるという現象を見出しました。このような現象のメカニズムを探ると共に、担子菌の機能強化に生かせないかと研究を進めています。

森林微生物間の相互作用の解明


3.担子菌を用いたバイオレメディエーション

木材腐朽菌の中にはダイオキシンやPCB、有害な失効農薬等の難分解性環境汚染物質を分解無毒化できるものが存在します。本研究室では多くの有害物質を分解できる担子菌の選抜とその分解経路を解明し、実際の汚染土壌浄化に役立てる研究を行っています。


担子菌を用いたバイオレメディエーション

 
担子菌を用いたバイオレメディエーション   

4.食用担子菌子実体形成機構の解明

 シイタケを初めとした食用担子菌の子実体(きのこ)形成は、その生活環の中でも形態的に著しい変化を示し、食料資源としての経済的価値のみならず、分子細胞生物学的にも興味深い現象です。私たちはどのような要因が子実体形成にかかわるのかを化学的、分子生物学的に明らかにしようとしています。