研究内容

近縁ウイルス間の干渉効果に基づいたワクチン(弱毒)ウイルスの作用機構の解明
これまでに,ウイルスRNAを特異的に検出できるin situ ハイブリダイゼーション法や蛍光タンパク質を発現するキュウリモザイクウイルス(CMV)ベクターを用いて,感染個体内での同種ウイルス間の空間的競合の可視化に成功しています.
現在,どのような宿主因子が干渉効果を決定しているのかを分子レベルで解析しています.

















抵抗性誘導物質による感染低減と病徴軽減
近年,昆虫により媒介される植物ウイルスの感染による病害(CCYV等)が,九州各県や本州に発生拡大している.
そのような新興性ウイルス病害に対して,迅速な総合的防除技術体系の確立が求められており,植物の抵抗性誘導剤の開発・利用が注目されている.
私たちは,抵抗性誘導剤がどのような分子機構を活性化させて,どのようにウイルスの増殖・移行を抑制しているのかを調べています.
















光照射による植物ウイルス病の発病抑制機構の解明
植物に予めUV-Bを照射しておくと病害抵抗性が誘導され,病害が大幅に軽減されることが明らかになっています.
引用文献:Matsuura and Ishikura, (2014) Letters in Applied Microbiology 59: 457- 463

そこで,私たちはどのようなメカニズムがUVによる誘導抵抗性を決定しているのかを分子レベルで解明する研究を進めています.

本研究はSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「次世代農林水産業創造技術」
「持続可能な農業生産のための新たな総合的植物保護技術の開発」
研究ユニット2.紫外光による病害虫防除技術の確立と誘導抵抗性の関与機構の解析
により,実施されています.

















植物ウイルス間の病原性相乗(シナジー)効果の分子機構解明
栽培作物が異種ウイルスによる重複感染を受け,病気が重症化することが農業現場で大きな問題となっています.
そこで,私たちはどのようなメカニズムが植物病害の劇症化を決定しているのかについて,分子レベルでの解明を進めています.
また,シナジーの過程に至る前に異種ウイルス間で局部的な干渉が生じていることも明らかにしました.
この現象に関与する分子機構についても追究しています.



















新興性植物ウイルスの諸性質解明と防除法確立
九州,宮崎県はその地理的位置関係や温暖な気候風土から,新規病害ウイルスの発生リスクが他地域よりも高いと考えられています.
私たちは最新の診断技術や研究手法を用いて,新興性植物病害ウイルスの植物病理学的,分子遺伝学的諸性質を明らかにしていきます.
得られた知見は地域や国内外に向けて発信し,早期防除体制の確立に役立てます.