令和6年度 第1回宮崎県病理分科会

卒後教育の一環として、宮崎県職員を対象とした獣医病理の研修会を実施しました。
昨年度まで獣医棟改修のため図書館で実施していましたが、改修が終わりましたので新しくなった鏡検室で実施しました。
午前中には症例検討2例の発表がありました。

今回は2例ともブタのリンパ球系腫瘍に関する発表でした。
ウシでは牛伝染性リンパ腫が有名で、その発生数も増加傾向で研究も盛んに行われていますが、ブタのリンパ腫は発生数は少なく病理学的な知見も少ない印象です。発表された職員の方は、組織学的特徴と免疫染色結果を基に、ブタのリンパ腫を組織学的に分類されていました。

2例目の症例は、全身骨髄に病変がみられたブタの症例でした。
リンパ節や実質臓器に病変を作るブタのリンパ腫を診断した経験はありますが、重度な骨髄病変を伴う症例は初めての経験でした。
貴重な症例でした。

午後より、福家が病理標本作製方法について説明を行いました。
病理標本は機械にセットすると全自動でできるのではなく、いくつかのステップを経て綺麗なガラス標本が完成します。
標本を作成する上で重要なことは、「綺麗な組織標本を作成すること」だと思います。
メス傷が入ったり、気泡や異物が入り込んだ標本では適切な観察ができません。
こういったことを防ぐコツやポイントを2時間程度説明させていただきました。

宮崎大学では、卒後教育の一環として年4回程度県職員に対して獣医病理の研修会を実施しており、今回は令和6年度の最初の開催でした。

2024年05月30日