当研究室では附属動物病院の診療活動において脳外科手術を除くほとんどの外科手術を担当しております。なかでも以下の疾患の診断と治療に関しては経験と実績を積み、研究、新規治療法の開発を行っております。

悪性腫瘍

 犬や猫の「がん」の治療は、人間と同じように、外科療法(手術)、化学療法(抗がん剤)、放射
線療法、免疫療法が行われています。
 当研究室においても、腫瘍の種類や部位に応じて、単独あるいは複数の治療法を組み合わせて行なっております。とくに頭頸部(顔面、口腔、鼻腔、喉頭)や
膀胱などでは外科手術をご希望されない飼い主様も多く、その治療法の選択に苦労する事も少なくありません。当研究室では、ヒトの治療法を応用して、侵襲が比較的少なく、臓器・組織の温存が可能な治療法の研究を行っております。
 さらに、不幸にして転移(とくに肺転移)してしまった動物に対しても、積極的な治療を試みており、飼い主様が最後まで治療を選択できるよう日々努力しております。

犬糸状虫症

 いわゆる「フィラリア症」です。犬糸状虫は犬の肺動脈に寄生する線虫で、蚊が媒介することはよく知られています。診断は血液検査(抗原、子虫の検出)と心エコー検査が中心ですが、いずれも100%の診断法ではありません。ある条件下では、虫が寄生しているにもかかわらず、抗原や子虫が検出されないことがあります。また、虫の数が少ない場合は、心エコー検査で虫の姿を描出することが困難です。したがって、その診断に際して、飼い主様からの情報(予防の有無、予防薬の種類、予防期間等)は非常に重要で、それに症状や各種検査結果を加味して総合的に行なう必要があります。犬糸状虫症は無症状の寄生犬から緊急手術を必要とするものまであり、その病態把握が治療の成否を左右する重要なポイントです。猫に犬糸状虫が寄生した場合、症状が激しく、突然死を起こすことがあります。治療方法としては、犬糸状虫を駆除する方法、虫を外科的に摘出する方法があります。時には両者を組み合わせて行うこともあります。










    左:犬糸状虫寄生犬の肺動脈造影写真。主肺動脈・左右肺動脈が著しく拡張。
    右:手術により摘出された犬糸状虫

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