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国立大学法人宮崎大学 イオニクス材料設計研究室

研究内容内research

欠陥構造型プロトン伝導体の材料設計

 酸化物中のカチオンの一部を低原子価イオンで置換した際、酸化物イオン空孔を形成する。この酸化物イオン空孔が外部の水蒸気を取り込む際に水素イオン(プロトン)がO-O間に侵入型欠陥として導入され、その水素イオンが結晶内で最も優勢な電荷担体として機能する材料をプロトン伝導体という。この材料は1980年にT. TakahashiとH. Iwahara[Revie de Chimie Minerale 17 (1980)243.]によって発見され燃料電池や水蒸気電解、水素ポンプ、水素センサなどの応用が期待されている材料である。本研究室ではプロトン伝導体の合成法や添加元素などの影響を調べることで高プロトン伝導性酸化物の材料開発を行っている。


機械学習を用いた固体プロトニクス材料の物性予測
機器写真 プロトン伝導体のプロトン溶解量、伝導度やアプリケーション特性などを機械学習により予測するMaterials Informaticsに挑戦している。本研究室で得られたデータを基に新規材料予測に取り組んでいる。







プロトン伝導体を用いた水素センサの開発
機器写真 上記で説明したプロトン伝導体を電解質としたガルバニ電池は水素濃度差により電位(起電力)が生じる。電解質のプロトン輸率(プロトン伝導度/全電気伝導度)が1となる際、以下のネルンストの式に従った起電力が生ずる。

        E={RT/(2F)}・Ln(p'H2/p"H2)

片側の水素濃度p"H2が既知の場合に起電力Eをモニターすればもう一方の水素濃度p'H2をネルンストの式より求めることができる。この特性を利用した水素センサの開発を本研究室では行っている。



Mnの酸化還元を利用したプロトン伝導体による水素センサ


標準ガスに既知の水素濃度ガスを必要としない小型水素センサ


さらに、我々のグループでは車載搭載用水素センサや産業プロセスにおける熱処理炉用水素センサの開発を行っている。Mnの酸化還元によるプロトン伝導性発現を利用して還元性雰囲気ではプロトン伝導性、酸化性雰囲気では正孔伝導性を示す電解質を設計し、小型かつ既知の水素濃度の標準ガスを必要としない水素センサの開発に成功している。


プロトン伝導体を用いた次世代燃料電池の開発
 

 プロトン伝導体は中温度(600℃付近)で他の固体電解質よりも高いプロトン伝導率を示す。しかしながら、カソード(空気極)の過電圧が大きく著しい性能の低下が生ずる。本研究室ではこの材料を燃料電池に応用するため電極反応機構の解明及びプロトン伝導体に適した電極材料の探索を行っている。



 プロトン伝導体に電極を付けた単セルのアノード側を動画で示すようライターで炙る。その際、プロトン伝導体にはライターより熱と炭化系水素燃料が供給される。図に示すようにプロトン伝導体中を水素イオン(プロトン)が流れることでモーターが作動する。ライターを遠ざけると熱は残っているが、燃料が供給されないのでモーターが止まる。このように単セルでもモーターが駆動するパワフルな電池である。


プロトン伝導体を用いた水素製造



 プロトン伝導体は電解によって水素のみを取り出すことができるため、純水素製造が可能である。太陽光発電による余剰電力を活用して水蒸気電解やメタン/水蒸気ガス改質と組み合わせて高効率な水素製造デバイス開発を我々グループでは検討している。



共同研究 collaboration


九州大学稲盛フロンティア研究センター、九州大学エネルギー研究教育機構、北九州高専、JFCC、徳島大学
東北大学、大阪大学



ナビゲーション

Ionic materials design laboratory宮崎大学 イオニクス材料設計研究室

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