Citrus tamurana hort. ex Tanaka
ヒュウガナツ(日向夏)は宮崎県原産の代表的な特産園芸作物のひとつで、文政年間(1818~1829年)に現在の宮崎市赤江曽井、真方安太郎氏の宅地内で偶発実生として発見されました。ヒュウガナツは晩生カンキツで、その形成にはユズとブンタンが関っていると考えられていますが明確にはされていません。強い自家不和合性を持ち、かつ単為結果性をもたないため結実のためには他家受粉が必要で、その結果、果実中に多数の種子が形成されます。ヒュウガナツを食べるときは、皮の外側の黄色い部分(フラベド)のみをナイフで剥ぎ、皮の内側の白い部分(アルベド)と中の果肉を一緒に食べます。宮崎県におけるヒュウガナツ生産は栽培面積150ha、生産量2,616t、産出額14億円(令和6年産)で全国1位であり、宮崎市(旧清武町を含む)・綾町・日南市(旧北郷町を含む)などが主な産地となっています。ちなみに高知県ではヒュウガナツは小夏(こなつ)と呼ばれ、ヒュウガナツの枝変わり系統である‘宿毛小夏’などが栽培されています。

Mangifera indica L.
マンゴーはインドからミャンマー、マレー半島にかけてが原産と考えられている熱帯果樹です。FAOの統計(マンゴー・マンゴスチン・グアバの合計)では世界の生産量は年間約6,200万トン(2024年)に達し、その4割以上をインドが占める極めて重要な果樹です。マンゴーの品種はインドで発達した単胚性品種と、東南アジアで発達した多胚性品種とに大別されています。現在マンゴーの品種群は極めて多様に分化していて、インドだけで1000品種、タイでも200品種以上が存在するといわれています。現在、日本では宮崎県をはじめ沖縄県・鹿児島県などの温暖な地域で栽培されています。また日本で栽培されている品種のほとんどはアメリカのフロリダで育成された‘Irwin(アーウィン)’です。現在宮崎県では宮崎市、西都市、小林市、日南市などで栽培されており、栽培面積は79ヘクタール、生産量は1,234トン、産出額は50億円(令和6年産)で、沖縄県に次ぐ全国2位の産地です。

Fortunella spp.
キンカンはミカン科キンカン属に属する植物で、宮崎県で栽培されているのはほとんどが寧波(ねいは)キンカン(ニンポウキンカン)(Fortunella crassifolia)です。キンカンは他のカンキツ類とは異なり、果皮を食べる果物です。キンカンは生食のほか、甘露煮、シロップ漬けなどにもつかわれますが、宮崎県で栽培されるキンカンはほとんどが生食用で、樹上で完熟させたものを「完熟きんかん」として販売しています。さらに完熟きんかんの中でも、糖度16度以上、直径2.8センチ以上のものを「たまたま」、糖度18度以上、直径3.2センチ以上の特に品質が優れたものを「たまたまエクセレント」というブランド名で販売しています。現在宮崎県では、105ヘクタールで栽培されており、生産量は2,150トン、産出額は22億円(令和6年産)にもなり、全国1位の産地です。

Diospyros kaki Thunb.
カキは中国原産の果樹であると考えられていますが、日本にはかなり古い時代に渡来したとみられており、平安時代に発行された延喜式や本草和名には果樹としてのカキが既に記載されています。カキは変異性が大きく、800から1000品種が存在すると考えられていますが、一般的に脱渋と種子形成との関係により4つのタイプに分類されます。つまり、1)種子の有無に関わらず甘ガキとなる完全甘ガキ(PCNA)、2)種子が存在する場合のみ甘ガキとなる不完全甘ガキ(PVNA)、3)種子が存在すると種子の周りのみ渋味が消失する不完全渋ガキ(PVA)、4)種子の有無に関わらず渋ガキとなる完全渋ガキ(PCA)の4タイプに分類されます。この中で完全甘ガキは日本において分化した品種群であり、中国、韓国には完全甘ガキは存在しません(しかし近年中国において独自に完全甘ガキに分化したと考えられる‘羅田甜柿(らでんてんし)’が発見されました)。宮崎県では国富町・延岡市・西諸県地域などを中心に41ha(令和6年産、生産量263t)栽培されており、完全甘ガキである‘富有’などが栽培されています。農林水産省果樹試験場(現 農研機構 果樹茶業研究部門)で育成された新品種‘太秋’の食味が優れることから、宮崎県においても‘太秋’の導入が積極的になりつつあります。

Castanea spp.
主な食用グリにはニホングリ、チュウゴククリ、ヨーロッパグリの3種があり、日本で栽培されているのは主にニホングリ(Castanea crenata Sieb. et Zucc.)で、日本と朝鮮半島南部に原生しています。野生種はシバグリといわれ、縄文時代から食糧として利用されてきました。栽培グリはシバグリが改良されたもので、江戸時代には「丹波栗」が有名となりました。大正時代以降、クリ栽培は盛んになりましたが、1950年代のクリタマバチの被害で、栽培は激減しました。現在はクリタマバチの被害を受けにくい‘丹沢’や‘筑波’などの抵抗性品種が植えられています。宮崎県では日之影町・小林市(旧須木村を含む)・えびの市・美郷町(旧西郷村を含む)を中心に産地を形成しており、福岡県や首都圏を中心に出荷されています。県北で作られている果実は「くりきんとん」などの和菓子の材料としての評価が高く、中京地方の菓子メーカーが購入しています。宮崎県の栽培面積は556ヘクタール、生産量は334トン(令和6年産、全国10位)で、生産量は台風などの気象の影響により年によって大きく変動します。
Citrus unshiu Marc.
ウンシュウミカンは江戸時代に鹿児島県長島(現鹿児島県出水郡長島町)で発見された果樹で、現在日本でもっとも多く生産されている果樹です。宮崎県では栽培面積493ha、生産量5,970t(令和6年産)となっており、極早生系統が栽培面積の約6割を占めています。県内では日南市から延岡市にかけて、年平均気温15.5度以上の沿海地域で生産されています。現在宮崎県では、日南市において発見された優良枝変わり系統の極早生品種‘日南1号’への更新が進められています。この品種は日南市東郷町の野田明生氏が自らの栽培園の‘興津早生’の枝変わりとして発見したもので既存の極早生品種に比較して、樹勢がよく、早熟生で果実品質も優れることから平成元年9月に品種登録されたものです。また現在では消費者の高品質果実へのニーズに対応するために高畝、マルチ栽培等による高品質果実生産が進められています。
※栽培面積・生産量・産出額・全国順位は、宮崎県「みやざきの園芸2026」(令和6年産)による。うんしゅうみかんの極早生割合は宮崎県「令和7年産 果樹栽培状況等調査」、マンゴーの世界生産量はFAO統計(Statista経由)、「たまたま」の基準は宮崎県季刊誌「Jaja」による。(2026年10月更新)