3週間以上下痢や嘔吐など消化器症状が続くこと症候群は慢性腸症と呼ばれます。
慢性腸症は、下記のように分類できます(下図参考)。

超音波検査
消化管の超音波検査で、腸の粘膜に線状パターンが認められたら、リンパ管拡張症を強く疑います。
内視鏡所見
白いツブツブがリンパ管の拡張しているところです。
消化管の全層生検の様子
全層生検は、最も診断精度が高い検査ですが、開腹する必要があること、消化管の内腔の病変が見えないことなどから、内視鏡検査と一長一短があります。慢性腸症の原因の多くは食事を変更すると改善すると言われていますので、食事を変更することで下痢が治ることもあります。ただし、お薬とは違い、食べ物を変更する治療では治療に時間がかかることが多いですし、その子にあう食事が見つかるまでは、食事を何度も変更することがあります。
腸炎と消化器型のリンパ腫は残念がら内視鏡をしないと診断ができません。炎症と腫瘍は大きくその後のことも変わってくるので内視鏡検査あるいは生検をオススメします。
人間と異なり、動物たちはなんでこの検査をしているかはわかりません。そして我慢もできないので、検査には全身麻酔が必要です。麻酔管理は注意深く行っています。
市販の消化器用フードを何種類か試しても下痢が改善せず、ステロイドを投与しても改善しない症例の中に手作り食に反応して下痢や消化器症状が改善する症例が比較的多く認められます。宮大の消化器外科・内科外来では、オリジナルの手作り食レシピでこのような症例の治療を行っています。症例の状態にあわせたテーラーメイドの食事治療も行っていますので、ご相談ください。
消化器症状が全く認められない消化器疾患も多く認められます。超音波検査や血液検査で消化器疾患を疑っていると思いますので、大学で精査をさせていただければと思います。
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