慢性腸症の中でも重症の疾患であり、腸からタンパク質が漏れでてしまう疾患です。
慢性腸症に加え、血液検査で総タンパク質やアルブミンが低値になることで診断されます。
*ただし、総タンパク質は肝臓や腎臓の病気でも低値になるので、その病気がないことを調べて、消化器疾患があれば診断されます。
タンパク漏出性腸症の原因は、様々ですが、成犬では炎症性腸疾患、腸リンパ管拡張症、リンパ腫などが原因になることがあります。
タンパク漏出性腸症の多くで腸リンパ管拡張症が認められていますが、リンパ管拡張症が認められても低タンパク血症にならないこともあるため、分けて分類しています。まだ専門家の間でも考え方が分かれています。
腸のリンパ管が拡張する原因はわかっていませんが、原因不明の特発性が非常に多いですが、先天性のリンパ管奇形や後天的にはIBDやリンパ腫が原因になっていることもあります。
好発犬種:ヨークシャーテリアなどで多いです。
内視鏡生検を行うと、図のようにリンパ管が拡張していることがわかります。
本症例は、特発性のリンパ管拡張症と診断しました。
リンパ管は食事中の脂肪分を吸収する場所です。そのためリンパ管拡張症の患者さんには、低脂肪食を食べてもらうことが多いです。
療法食の低脂肪食(ドッグフード)をあげても症状が改善しない場合、オリジナルの手作り食レシピで 治療を行っています。
元々プレドニゾロンがリンパ管の流れを良くすると言われていますが、食事で改善する場合には使用しない場合もしばしばあります。
宮崎大学農学部獣医学科 動物病院研究室
住所:宮崎県宮崎市学園木花台西1-1
© 2018 Miyazaki University Veterinary Teaching Hospital. All Rights Reserved.