獣医再生医療を3つの柱研究で支えます。
基礎研究
応用研究
臨床研究
再生医療とは、組織工学を応用して病気や怪我などで失われた組織・機能を取り戻そうとする医療技術です。
様々な細胞へ分化する能力を持つ幹細胞の研究は再生医療の大きな期待です。ヒトES細胞や山中博士らのグループによる人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立は近年の幹細胞研究の急速な発展への起爆剤となりました。
再生医療に用いる幹細胞には、成体から採取できる体性幹細胞と多能性幹細胞と呼ばれる胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が考えられています。
しかし、受精卵を破壊して作成されるES細胞は倫理的な問題もあり、使用には厳しい制限があります。
ヒト胎盤動脈由来iPS細胞
体性幹細胞は、患者自身の細胞ですので、移植後の免疫的な拒絶反応を回避できますが、得られる細胞数が少なく、細胞の増殖にも限界があり、分化能も限りがあります。
そこで颯爽と登場したのがiPS細胞です。
iPS細胞は、患者自身から細胞を採取し、数個の遺伝子導入により作成できます。元が患者自身の細胞なので、拒絶反応が少なく、無限に増殖でき、ES細胞と同等の多分化能(身体の全ての細胞に分化する能力)を有すると考えられています。
iPS細胞の登場以来、再生医療応用への研究が世界中で精力的に行われています。しかし、そのほとんどがヒトを対象とした研究です。獣医学領域におけるiPS細胞を用いた再生医療研究は、ほとんどなされていないのが現状です。本研究室はヒト再生医療研究で蓄積されたiPS細胞研究、間葉系幹細胞研究を獣医領域に応用し、伴侶動物(わんちゃんやねこちゃん)や産業動物の病気を治すことができる獣医再生医療技術の開発を目的とします。その実現のために具体的には以下に掲げる研究を行っています。
基礎研究
・ヒトiPS細胞のエピジェネティクス研究 ←クリック
・ヒトiPS細胞におけるTERT遺伝子の制御と増殖能獲得メカニズムの解析
・ヒトNaïve型多能性幹細胞に関する研究
・ヒト多能性幹細胞とがん細胞の境界を規定するエピジェネティックネットワークの解析
・人工知能(AI)を用いたヒトiPS細胞判別システムの開発
応用研究
・獣医療に応用可能な高品質動物iPS細胞の樹立方法の開発 ←クリック
・動物間葉系細胞を用いたダイレクトリプログラミングの研究
・イヌ、ネコ遺伝子疾患に関する研究
臨床研究
・間葉系細胞を用いた自家細胞移植術による獣医再生医療支援 ←クリック
・グルタル酸尿症II型の遺伝子治療に関する研究 ←クリック