慢性膵炎と診断された飼い主様へ

慢性膵炎とは

膵臓における持続的な炎症反応により、膵臓の線維化や細胞萎縮といった不可逆的な状態に陥り、膵臓の機能低下が進行していきます。食欲低下、嘔吐、体重減少などが症状として挙げられますが、症状を呈さないことも少なくありません。犬よりも猫で多いとされています。急性膵炎を繰り返すことで慢性膵炎に移行することもあります。逆に慢性膵炎が増悪化して急性膵炎に至ることもあります。

診断は?

各種検査から総合的に判断しますが、やはり腹部超音波検査が重要です。特に黄疸のある症例では、膵炎により総胆管の開口部付近を圧迫して総胆管閉塞を引き起こしている可能性もあるため、膵臓領域の評価だけでなく、総胆管の評価も大切になってきます。

  • 膵臓領域における
    腫瘤状病変
  • 膵臓の高エコー化
    膵管の拡張
  • 総胆管の拡張

治療は?

症状がある場合は急性膵炎と同様に輸液、制吐、疼痛管理が基本となります。程度により、入院か通院治療かが決まります。症状の有無に関わらず重要なのは栄養療法で、食事の基本は低脂肪食になります。その他に内科的治療として、膵臓消化酵素剤や蛋白分解酵素阻害剤を用いることもあります。

宮崎大学農学部獣医学科 動物病院研究室

住所:宮崎県宮崎市学園木花台西1-1