インスリノーマと診断された飼い主様へ

インスリノーマとは

膵臓のインスリンを分泌するβ細胞由来の悪性腫瘍です。低血糖もしくは、それに関連した症状(発作や虚脱など)が起きて、初めて発見されることがほとんどです。リンパ節や肝臓に転移していることも多く、進行が早いのが特徴的です。そのため、早期に診断・治療につなげていかなければいけません。一般的には中大型犬で多いとされていますが、国内では小型犬での発生が多く、本大学でもほとんどが小型犬になります。

診断は?

超音波検査やCT検査といった画像検査が有用で、血中インスリン濃度の測定も必要になってきます。しかしながら腫瘍自体が小さく、画像検査で発見できないことも少なくありません。そのため、他の低血糖を起こす疾患(門脈体循環シャント、肝疾患、他の腫瘍など)との鑑別が非常に重要です。

  • 超音波検査
  • CT検査
  • CT検査(肝臓転移巣)

治療は?

転移の有無により予後は変わってきますが、外科的切除(膵臓の部分摘出)が有効です。すでに転移がある場合でも、可能な限り腫瘍を取り除くことで、低血糖の管理に効果的でQOL*の向上につながることもあります。また、腫瘍の再発予防や転移がある場合は、抗がん剤治療や低血糖の管理を中心とした内科的治療も合わせて行います。

  • 摘出した腫瘍
  • 抗がん剤の動脈投与

宮崎大学農学部獣医学科 動物病院研究室

住所:宮崎県宮崎市学園木花台西1-1