トピックス

〇 日本育種学会賞を受賞

理化学研究所仁科加速器科学研究センターイオン育種研究開発室の阿部知子室長、福井県立大学生物資源学部の風間裕介教授、平野智也准教授のグループによる「重イオンビームによる育種技術の開発」が日本育種学会賞を受賞しました。

研究グループは、イオンを高速にした重イオンビーム(重粒子線)を植物に照射する育種技術の基礎を確立し、そのゲノムへの影響を確認するとともに、重イオンビーム育種技術を利用するユーザーに対して最も適した照射法を提案する「テーラーメイド変異誘発技術」により、効率的な変異誘発技術を提供しました。これまでに多くの新品種や有用系統の育成に貢献しました。

これらの実績が評価されて日本育種学会賞が授賞されました。日本育種学会は1951年に創設された日本学術会議登録団体であり、日本育種学会賞は、優れた学術的あるいは技術的業績に対して授与される権威ある賞です。

〇 令和4年度宮崎大学女性研究者奨励賞を受賞

登島早紀さんが令和4年度宮崎大学女性研究者奨励賞を受賞しました。

この賞は女性研究者の研究の質及び研究への意欲の向上を目的に、独自の研究能力を有する女性研究者を表彰するものです。

今後の更なる活躍が期待されます。おめでとうございます。

詳しくは大学のホームページをご覧ください。

本人からのコメントも届いています。

「この度このような素晴らしい賞を頂き誠に有難うございました。まさか自分が賞を頂けると思っておらず、とても驚きました。そしてこのような賞を頂けるのは、これまで沢山の先生方や事務の方々、研究室の皆さんにサポート頂いたおかげだと感じております。これからも研究や社会活動を通して、より素晴らしい成果を上げられるよう精進していきたいと思います。」

〇 宮崎大学学生農学特別賞(研究部門)を受賞

本研究室の修了生である中川颯也君の研究業績(下記)が認められて宮崎大学学生農学特別賞(研究部門)を受賞しました。

今後の更なる活躍が期待されます。

S. Nakagawa, Y. Setoguchi, R. Ohmura, S. Toshima, H. Park, Y. Narasako, T. Hirano, M. Otani, H. Kunitake (2022) Effects of cross combination on the total content and its composition of anthocyanins in sweetpotato (Ipomoea batatas L.). Scientia Horticulturae, 299(1) 110999.

 

〇 学術論文が掲載されました 2

國武教授らの研究成果が「Plants」誌に掲載されました。

ラビットアイブルーベリー葉は豊富なポリフェノールを含み、多くの健康機能が報告されています。宮崎県内では葉生産のための栽培が各地で行われ、葉茶やエキス末などの食品素材として利用されています。しかしながら、現在までにその品種間差異や季節変動などの情報は皆無でした。そこで、本研究では、18品種のブルーベリー葉の総ポリフェノール含量、総プロアントシアニジン含量、および抗酸化活性を比較するとともに、葉に含まれるポリフェノールの季節変動を調査しました。ラビットアイブルーベリー葉は、ノーザンハイブッシュブルーベリーやサザンハイブッシュブルーベリー葉と比較して、総ポリフェノール含量や総プロアントシアニジン含量が有意に高いことが明らかになりました。また、秋から冬にかけて収穫した葉には、プロアントシアニジンに加えてエピカテキンが多く含まれており、季節によって違いがあることが明らかになりました。さらに、ラビットアイブルーベリー‘くにさと35号’の9月に収穫した葉のがん細胞増殖抑制について評価したところ、他の品種と比較してその能力が高く、アポトーシスによる細胞死であることが明らかになりました。以上のように、ラビットアイブルーベリー葉は、品種や収穫時期を限定することで、より高い機能性をもつ食品素材となることが期待されます。

Toyama Y, Fujita Y, Toshima S, Hirano T, Yamasaki M, Kunitake H. Comparison of Proanthocyanidin Content in Rabbiteye Blueberry (Vaccinium virgatum Aiton) Leaves and the Promotion of Apoptosis against HL-60 Promyelocytic Leukemia Cells Using ‘Kunisato 35 Gou’ Leaf Extract. Plants. 2023; 12(4):948.

ラビットアイブルーベリー‘くにさと35号’の機械収穫風景(左図)と茶葉(右図)

〇 学術論文が掲載されました

國武教授らの研究成果が「Scientia Horticulturae」誌に掲載されました。

日本ではまだ導入が進んでいないブラックラズベリー(Rubus occidentalis L.)の果実は、ポリフェノールなどの生理活性物質が豊富に含まれる種であり、ブラックラズベリーの新たな品種の開発が切望されています。また、ナワシロイチゴ(R. parvifolius L.)をはじめとするアジアのキイチゴ属野生種は、ラズベリー育種の新しい遺伝資源として注目されています。本研究では、ブラックラズベリー JP1 (Japanese accession 1) とナワシロイチゴとの種間雑種をはじめて育成しました。しかしながら、遠縁の種間雑種であることで生殖稔性がないことから、その種間雑種をコルヒチン処理で倍加し、複二倍体を作出したところ、開花・結実が確認されました。本研究の成果は、ブラックラズベリーの育種に貢献するとともに、環境適応性の高い新たな育種素材として、期待できるものと思われます。

Toshima, K., Katsumi, I., Kai, A., Yahata, M., Hirano, T., Kunitake, H. Amphidiploid production of hybrid between black raspberry and Rubus parvifolius L., a wild Asian species, using colchicine treatment. Scientia Horticulturae , 312(15) , :111863(2023)