〇 動植物資源生命科学コースに移動しました
2025年4月より宮崎大学農学部は6学科から2学科(農学科、獣医学科)になりました。
植物遺伝育種学研究室は、応用生物科学科から農学科・動植物資源生命科学コースに移りました。
〇 学術論文が掲載されました
國武教授、平野准教授らの研究成果が「Plants」誌に掲載されました。
ラビットアイブルーベリーの葉や枝にはプロアントシアニジンが豊富に含まれており、その構造や重合度によって生理活性が異なると考えられています。お茶などに加工されている葉を収穫する過程ででる枝は、これまで産業廃棄物としては処分されていました。枝の栄養成分の評価を行うことで、葉との違いを明らかにすることは、食品産業上重要な課題とされていました。本研究では、ラビットアイブルーベリーの葉と枝に含まれる成分を分析し、ポリフェノールとプロアントシアニジン(PAC)含量の季節変動と平均重合度(mDP)の差異を調査しました。その結果、枝は葉と比較してプロアントシアニジンの平均重合度が概して低く、年間を通して安定していることが明らかになりました。重合度の違いは体内吸収や抗酸化力などの生理特性に影響するため、目的に応じて適切な収穫時期や器官を選択することが、ブルーベリー加工食品の品質確保につながることが期待されます。
Yasuko Koga, Yuno Setoguchi, Kazuhiro Sugamoto, Yo Goto, Tomonari Hirano and Hisato Kunitake, Seasonal Variation and Mean Degree of Polymerization of Proanthocyanidin in Leaves and Branches of Rabbiteye Blueberry (Vaccinium virgatum Aiton). Plants 2024, 13, 1864.
〇 学術論文が掲載されました
平野准教授・國武教授らの研究成果が、Cytologia誌に掲載されました。
アルゴンイオンビームを照射した花粉を授粉させ、胚発生および胚乳形成を調査した結果、胚乳のみが発達した胚嚢など、多様な胚および胚乳発達が見られることが明らかになり、それら特徴的な胚嚢の形成率は炭素イオンビーム照射時より高いことが明らかになりました。照射花粉由来の胚乳から植物体を誘導することが出来れば多様な植物体が得られると考えられるため、今後は新たな育種法としての応用を目指します。
Shii M, Kajiya Y, Murata M, Abe T, Kunitake K, Hirano T (2024) Effects of fertilization of male gametes with heavy-ion beam irradiation on embryo and endosperm development in Cyrtanthus mackenii. CYTOLOGIA, 89: 133-139.
〇 学術論文が掲載されました
國武教授、平野准教授らの研究成果が「Horticulturae」誌に掲載されました。
オレンジ色のサツマイモには、ポリフェノールやカロテノイドの成分が豊富に含まれています。これらの機能性成分が、どの生長ステージで発現しているかについてはこれまで明確な情報がありませんでした。本研究では、焼酎の原料にも使われている‘タマアカネ’を材料として、カロテノイドなどの機能性成分の季節変動について調査しました。カロテノイドとポリフェノールは、移植後15日の根系形成直後にはすでに蓄積していることを明らかにしました。また、総ポリフェノール含量は移植後45日後にかけて有意に増加し、貯蔵根が肥厚し始めると徐々に減少することが分かりました。これらの成分変化は、非生物および生物ストレスに対して貯蔵根を保護する戦略に寄与している可能性があり、今後他の品種でも調査していく予定です。現在、農林水産省では、「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて、「有機農業」が推進されています。植物そのものが持つ機能性成分の役割を見直す時期にきているかもしれません。
Yuno Setoguchi, Yosuke Narasako, Tomonari Hirano, Motoyasu Otani and Hisato Kunitake, Changes in Carotenoids and Polyphenols during the Growth Stages of Orange-Fleshed Sweet Potato (Ipomoea batatas (L.) Lam.). Horticulturae 2024, 10(6), 629
〇 学術論文が掲載されました
平野准教授らの研究成果が、Frontiers in Plant Science誌に掲載されました。本研究では、重イオンビームで誘発するDNA欠失変異の最大値や、染色体構造変化を決めるのはゲノム中に散在する必須遺伝子であることを実証しました。本研究成果は、重イオンビームを用いた突然変異育種のさらなる効率化に貢献すると考えられます。本内容は4月17日付でプレスリリースされています。
Ishii K, Kazama Y, Hirano T, Fawcett JA, Sato M, Hirai MY, Sakai F, Shirakawa Y, Ohbu S and Abe T (2024) Genomic view of heavy-ion-induced deletions associated with distribution of essential genes in Arabidopsis thaliana. Frontiers in Plant Science 15:1352564.