トピックス

〇 CYTOLOGIA奨励賞を受賞

平野智也准教授が第11回CYTOLOGIA奨励賞を受賞しました。

CYTOLOGIA奨励賞は、公益財団法人・日本メンデル協会が、細胞遺伝学分野ならびに細胞生物学分野の将来を担う研究者を奨励するために創設された賞です。令和7年6月14日に行われた日本メンデル協会第2回大会にて授与式および受賞記念講演が行われました。

受賞タイトルは「重イオンビーム照射によるDNA損傷と重複受精の関連性の解明」です。植物が受精時にゲノムの安定性をどのように保つかを研究したものです。詳しい研究内容は下記HPをご覧ください。
今後ますますの活躍が期待されます。

CYTOLOGIA奨励賞
https://square.umin.ac.jp/mendel/syoreisyo.html

〇 学術論文が掲載されました

國武久登教授、平野智也准教授(植物遺伝育種研究室)、竹下 稔教授(植物病理学研究室)らの研究成果がJournal of the American Society for Horticultural Scienceに掲載されました。

サツマイモの主産地である南九州地域では、基腐病が流行しており、抵抗性品種の開発が急務となっています。國武教授らは、株式会社くしまアオイファームや石川県立大学と連携して、茎のポリフェノールを分析し、基腐病の罹病性との関係を調査することで、抵抗性品種を選抜するための基礎技術を確立しました。特に、3,4-ジカフェオイルキナ酸やクロロゲン酸は抵抗性マーカーになる可能性が高いことを見出しました。この知見は、サツマイモの育種年限を短縮し、基腐病の克服に役立つ可能性があります。

このサツマイモの茎ポリフェノールは、基腐病抵抗性を選抜するマーカーになることが期待され、すでに特許の出願を行っています(特開2024-65009)。

Setoguchi Y, Fukutome, H., Narasako Y, Hirano T, Takeshita, M., Otani M and Kunitake H., Effect of Stem Polyphenol Content on the Susceptibility to Foot Rot Disease in Sweetpotato (Ipomoea batatas (L.) Lam.). Journal of the American Society for Horticultural Science, 150(3): 159-167(2025)

〇 動植物資源生命科学コースに移動しました

2025年4月より宮崎大学農学部は6学科から2学科(農学科、獣医学科)になりました。

植物遺伝育種学研究室は、応用生物科学科から農学科・動植物資源生命科学コースに移りました。

〇 学術論文が掲載されました

國武教授、平野准教授らの研究成果が「Plants」誌に掲載されました。

ラビットアイブルーベリーの葉や枝にはプロアントシアニジンが豊富に含まれており、その構造や重合度によって生理活性が異なると考えられています。お茶などに加工されている葉を収穫する過程ででる枝は、これまで産業廃棄物としては処分されていました。枝の栄養成分の評価を行うことで、葉との違いを明らかにすることは、食品産業上重要な課題とされていました。本研究では、ラビットアイブルーベリーの葉と枝に含まれる成分を分析し、ポリフェノールとプロアントシアニジン(PAC)含量の季節変動と平均重合度(mDP)の差異を調査しました。その結果、枝は葉と比較してプロアントシアニジンの平均重合度が概して低く、年間を通して安定していることが明らかになりました。重合度の違いは体内吸収や抗酸化力などの生理特性に影響するため、目的に応じて適切な収穫時期や器官を選択することが、ブルーベリー加工食品の品質確保につながることが期待されます。

Yasuko Koga, Yuno Setoguchi, Kazuhiro Sugamoto, Yo Goto, Tomonari Hirano and Hisato Kunitake, Seasonal Variation and Mean Degree of Polymerization of Proanthocyanidin in Leaves and Branches of Rabbiteye Blueberry (Vaccinium virgatum Aiton). Plants 2024, 13, 1864.

〇 学術論文が掲載されました

平野准教授・國武教授らの研究成果が、Cytologia誌に掲載されました。

アルゴンイオンビームを照射した花粉を授粉させ、胚発生および胚乳形成を調査した結果、胚乳のみが発達した胚嚢など、多様な胚および胚乳発達が見られることが明らかになり、それら特徴的な胚嚢の形成率は炭素イオンビーム照射時より高いことが明らかになりました。照射花粉由来の胚乳から植物体を誘導することが出来れば多様な植物体が得られると考えられるため、今後は新たな育種法としての応用を目指します。

Shii M, Kajiya Y, Murata M, Abe T, Kunitake K, Hirano T (2024) Effects of fertilization of male gametes with heavy-ion beam irradiation on embryo and endosperm development in Cyrtanthus mackenii. CYTOLOGIA, 89: 133-139.