研究者紹介

上條 信彦(KAMIJO, Nobuhiko)

弘前大学 人文科学部 准教授

【専門分野】
先史考古学
【これまでの主な研究】
東アジア先史時代における食料加工技術からみた食文化の変遷を研究しています。縄文時代を中心にこれまで、中国・韓国・ロシア・エルサルバドルをフィールドに石器使用痕分析やデンプン・顔料などの付着物分析、実験や民族資料観察を通じたモデル構築を行っています。
【この研究における役割】
長江下流域における、野生植物利用から栽培植物利用への変遷を石器・石製品の分析を通じて解明していきます。現地に顕微鏡とピペットを持って、遺跡を巡り歩きます。また、加工対象物である出土米を中心とする種子のデンプン標本の作製や形態分析にも取り組みます。
【研究で用いる主な分析:石器使用痕観察】
使用痕は石器を使用した際につく傷のことです。この傷を顕微鏡などを使ってミクロレベルで傷の方向や性質を観察します。それを実験や民族資料で得られているデータと比較することで、道具の使い方や対象物を知ることができます。
【研究で用いる主な分析:残存デンプン粒分析】
デンプンとは炭水化物で、天然高分子です。デンプン粒の形状や性質は起源となった植物の種類により異なることから、もし石器などから検出されれば、その加工対象物が分かるかもしれません。デンプンというと地中ですぐに分解されてしまうイメージがありますが、分解する微生物が少ないなど保存環境の良い状態であれば長く残存することが知られています。近年、世界の様々な遺跡で検出例が相次いでおり、イモやマメなど腐って残りにくい植物の利用を知るうえで重要な方法となります。
【この研究に関係した業績】
上条信彦「膠東地区史前時期農耕石器使用微痕分析」「山東半島磨盤与磨棒的使用微痕及淀粉分析」「以膠東半島為中心的石器群」欒豊実 宮本一夫主編『海岱地区早期稲作農業与人類学研究』科学出版社,2008年(中国語)
上條信彦「円筒土器文化圏における食料加工技術の研究―礫石器の使用痕分析および残存デンプン粒分析を中心に―」『特別史跡 三内丸山遺跡年報』13号,pp.61‐ 78 ,2010年
上条信彦「考古学における残存デンプン分析の有効性」『漢江考古』7号,pp.125‐146 ,2011年
上條信彦,孫晙鎬「使用痕・残存デンプンからみた韓国青銅器時代の磨盤・磨棒」『中央考古研究』9号,pp.1-48 ,2011年
上條信彦2015『縄文時代における脱殻・粉砕技術の研究』六一書房
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