研究者紹介

田中 克典(TANAKA, Katsunori)

弘前大学 人文学部 特任助教

【専門分野】
植物遺伝学
【これまでの主な研究】
日本を調査フィールドとして、DNA分析を用いて、稲作、特にイネの栽培化とその後の改良ならびに伝播について研究を行っています。また、日本に固有のマクワ・シロウリ(メロン仲間)の成立や伝播を研究するために、DNA分析だけでなく、民族植物学調査も行っています。
【この研究における役割】
長江下流域において、野生イネの利用から水田による本格的な稲作までどのように発達してきたのかについて、その解明に取り組みます。具体的には、野生イネから栽培イネの栽培化、当時利用されていたイネの種類やそれらと現生イネとの類縁関係についてDNA分析法を用いて調査分析を行います。また、同時期に食された野菜を復元する一例としてメロン仲間の種類についても調査します。
【研究で用いる主な分析:DNA分析】
DNAの塩基配列は世代を経るにつれて変わる結果、種あるいは品種毎で異なるDNA配列が認められる。遺跡から出土した種子は、過去にイネが選択・改良されたことで栽培イネが現存する観点から、如何にしてイネが改良されてきたかを解明する上で重要な試料です。そこで、 DNA分析では、遺跡のイネやメロン仲間の種子からDNAを取り出し、その塩基配列を解読します。
【この研究に関係した業績】
田中克典「イネの種子の形状とDNA分析 その取り組みと問題点」,『フィールド科学の入口 イネの歴史を探る 』佐藤洋一郎・赤坂憲雄(共編),玉川大学出版部, pp. 209-222, 2013年
田中克典・上條信彦(共編)『冷温帯地域の遺跡資源の保存活用促進プロジェクト研究報告書4,日本の出土米 II,イネの種子遺存体の形態・DNA分析結果報告書』,弘前大学人文学部 北日本考古学研究センター,p. 332,2015年
Tanaka, K., Kamijo, N., Tabuchi, H., Hanamori, K., Matsuda, R., Suginomori, J., Sato, Y.-I., Udatsu, T., Ishikawa, R. ‘Morphological and molecular genetics of ancient remains and modern rice (Oryza sativa) confirm diversity in ancient Japan’, “Genetic Resources and Crop Evolution”, doi: 10.1007/s10722-015-0262-2, 2015年
Tanaka, K., Stevens, C.J, Iwasaki, S., Akashi, Y., Yamamoto, E., Dung, T.P, Nishida, H., Fuller, D.Q, Kato, K. ‘Seed size and chloroplast DNA of modern and ancient seeds explain the establishment of Japanese cultivated melon by introduction and selection’, “Genetic Resources and Crop Evolution”, doi:10. 1007/s10722-015-0314-7, 2015年
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