4 入力データの計算

4.1 関数による計算:合計「sum」
4.2 数式入力による計算
4.3 数式のコピー
4.4 データの桁数を揃える
4.5 データを並び替える
エクセルで使える関数の例

エクセルでは,入力したいくつかのデータの合計や平均値を計算することができる.また,標準偏差や分散分析などの統計処理も簡単にできる.

4.1 関数による計算:合計「sum」

図1のように,データが入力できたとする.都道府県出身者の数値の合計をセルC12に入れたい.


図1 データを入力し終わったところ

この場合,電卓などで,それぞれの数値をたして,C12に入力することもできるが,もしデータ数が数十個と多かった場合には,手間がかかる.しかし,EXCELではこれを簡単に計算できる.

合計値を出したいセルをクリックし,「=sum(」(すべて半角)と入力する(図2).



図2 「=sum(」と入力したところ

次に,計算をしたい数値の入力されているセルを選択する.選択は,左クリックしながら,数値が入力されているセルを指定(なぞる)すればよい.


図3 計算したい数値を選択したところ

選択し終わったら「Enter」キーを押す.すると,選択した数値の合計が表示される.


図4 合計値が表示される

このように,複数のセルに入力された数字に対して統計処理を行うために入力する式を関数と呼ぶ.上記の例のように合計を表す関数は,「sum」である.このほか,データ解析に頻繁に用いられる関数をいかにまとめる.

表 エクセルで使える関数の例
統計処理関数説明使用例
平均値average選択したセルデータの平均値=average(C3:C11)
標準偏差stdev選択したセルデータの標準偏差=stdev(C3:C11)
最大値max選択したセルデータの最大値=max(C3:C11)
最小値min選択したセルデータの最小値=min(C3:C11)

4.2 数式入力による計算

セルに入力されたいくつかの数値を用いて,自分で数式を入力して計算することもできる.例えば,図1に示すようなデータがあり,全体に対する北海道の人数の割合(パーセント)を知りたいとする.

図1 北海道の人数は全体の何パーセントか?

エクセルでは,求めたい数値を表示するセルに直接計算式を入力することで計算することができる.この場合,((セルC3の数値)÷(セルC12の数値))×100が求めたい数値である.従って,この場合は図2のようにセルD3に「=(C3/C12)*100」と入力する.

図2 セルD3に計算式を入力したところ

エンターキーを押すと数値が計算されて表示される.

図3 エンターキーを押すと数値が表示される

セルをマウスで選択することでセル位置を入力することもできる(この方が簡単かもしれない).

このように,計算値を入れたいセルに,直接計算式を入力することで計算ができる.

4.3 数式のコピー

同様に東北,関東などの数値を計算したい場合,例えば,セルD4に東北の人数割合を計算するために,再度数式を入力してもよいが,その数式をコピーすることで簡単に計算ができる.
コピーを行う前に,元となるセル(この場合セルD3)の数式をコピー対応の式にしておく必要がある.この例の場合,具体的にはセルD3の式を「=(C3/C$12)*100」と書き換えておく($マークを入れる).
一度入力した数式をこのように修正する場合,そのセルをダブルクリックし編集すればよい.

図4 数式を編集しているところ

次に,D3に入力した数式を,その下のセルにコピーする.元になるセル(D3)の右下の黒い点にカーソルを合わせる.すると,カーソルが黒い十字に変わる.


図5 カーソルが変わる

この状態で左クリックを押したまま,下にドラッグ(左クリックを押したままカーソルを動かす)する.計算したい範囲が選択されたらクリックを離す.


図6 下にドラッグしたところ

正しく計算されていれば,数値が表示される.

4.4 データの桁数を揃える

入力したデータ,あるいは関数で計算した数値は小数点以下の桁数が揃っていない場合が多い.例えば,図14のような状態の場合である.


図14 計算された数値の桁数が合っていない

まず,小数点以下を合わせたいデータが入力されたセルを選択し,選択したセルの上で右クリック→「セルの書式設定」→「表示形式」タブをクリックする.次に,「分類」の「数値」をクリックし,「小数点以下の桁数」を変更する.この例では,「1」にする.「OK」をクリックすると,データの小数点以下がそろう.
図15 データの小数点以下を「1」に揃えたところ

コピーによる計算の時の注意

ところで,もしD3のセルを「=(C3/C$12)*100」に書き換えず,「=(C3/C12)*100」のままコピーを行った場合どうなるかを図7に示す.
図7 正しく計算されない場合

この「#DIV/0!」というエラーメッセージは,数値を0で割ったことを表している.例えば,セルD4をダブルクリックすると,確かに東北の人数を空白のセル数値で割っていることがわかる.

図16 数式が0で数値を割る演算を行っている

このように,セルをドラッグしてコピーする場合,元となるセルが参照しているセルの位置関係が相対的にコピーされていく.これを防ぐため,位置関係が動いてほしくないセルには,$を付ける.この例では,セルC12の列番号は動いてほしくないので,列番号12の前に$を付ける必要があった.

4.5 データを並べ替えヒストグラムを作る

たとえば,図17のようなデータがあり,これを図10のようなヒストグラム(度数分布)であらわしたいとする.

図17 並べ替える前のデータ(50個ある)


図18 度数分布

そのためには,図17のデータを大きい(小さい)順に並べ替え,ある階級にあるデータ数を数える必要がある.
並べ替えを行いたいセルを選択する.次にメニューバーの「データ」→「並べ替え」→「最優先されるキー」が選択した列(この例では列A)になっていることを確認し,「OK」をクリックする.これで小さい順にデータが並び,階級ごとのデータ数を数えやすくなった.
この例では,階級の幅は5なので,90から95の間にある数値の数,96から100の間にある数値の数を数えていけばよい.
図19に示すような表ができあがればよいだろう.


図19 ヒストグラム作成のための表

この表をもとに棒グラフを作成すればよい.

ヒント1!!

図18のような図を作成するには,C1からD18を選択→グラフウィザードボタン→縦棒を選択→「次へ」をクリック→ここで,サンプル画面が希望通りの図になっていればよいが,なっていない場合,「系列」タブをクリックし,必要な項目を変更する必要がある.
  • 「系列」に表示されている「血圧」を選択し,「削除」をクリックする.
  • 「値」が人数が入力されているセル(この場合D2からD18)が表示されているかを確認する.
  • 「項目軸ラベルに使用」の横のセル番号入力欄(白い四角)をクリックし,階級が入力されているセルを選択する(この場合C1からC18を選択).



    図20 項目軸ラベルを選択したところ

  • 「次へ」をクリックする

ヒント2!!

ランダムに並んだデータからヒストグラムを自動的に計算する関数がある.

まず,階級を入力する.たとえば,図21のようにC2からC18に階級を入力する.


図21 階級を入力したところ

次に,
  • D2からD18を選択
  • 「F2」キーを押し,「=frequency(A1:A50,C2:C18)」と入力
  • 「Shift」キーと「Ctrl(Control)」キーを同時に押しながら「Enter」キーを押す
これで階級の横にデータの頻度が自動で計算される.


図22 この状態で「Shift」+「Ctrl(Control)」+「Enter」キーを押す

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5 表の作成
6 図の作成
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