研究紹介

植物遺伝育種学研究室では、國武が果樹分野、平野が花卉分野の研究を主に担当しています。

果樹分野

カンキツ半数体の遺伝解析

遺伝解析の重要な材料となる半数体は、カンキツでは獲得が困難であり、これまでにその詳細な特徴は知られていない。私たちは南九州の特産果樹である‘晩白柚’を材料として半数体の特徴、倍加半数体の誘導およびその利用について研究しています。

カンキツ自家不和合性の解析

植物には、近親交配を避けるために雌ずいが自己と非自己の花粉を認識し,同一個体や遺伝的に近い個体の花粉で受精しない「自家不和合性」という特徴があります。私たちはカンキツを用いて、その機序を解明するために分子遺伝学的な手法を用いて研究しています。

キンカン属植物の系統分類

宮崎県のキンカン生産量は全国1位です。栽培種はニンポウ(ネイハ)キンカンですが、その他にもいくつかの近縁野生種が存在します。私たちは、キンカン属の遺伝資源を収集、保存し、その遺伝的な特徴を調査し、栽培利用について研究しています。

カンキツの細胞融合による育種

種間に存在する生殖的隔離機構を克服する1つの手段として細胞融合法があります。カンキツでは500例以上の体細胞雑種が獲得されています。私たちは、香りや機能性成分に注目した細胞融合による育種について研究しています。

ブルーベリー果実を対象とした育種

日本には19種の近縁野生種が存在しており、古くから里山植物として親しまれてきた。私たちはそれらの野生種の成育特性や果実品質を評価し、ブルーベリーとの種間交雑による新たな品種開発について研究しています。

ブルーベリー葉の機能性評価とその栽培技術の開発

私たちは、宮崎県産の農作物を網羅的に解析することで、世界ではじめてラビットアイブルーベリー葉の健康機能性を明らかにしました。また、葉の大量生産法を確立し、宮崎県独特の釜入り茶製法を応用して、機能性の高いブルーベリー葉茶「ベリーフ」を製品化することができました。

キイチゴの在来種を利用した育種

ラズベリーやブラックベリーの消費が伸びています。日本にもナワシロイチゴなどの近縁野生種が生息していますが、その育種的利用はまったくなされていません。私たちは、キイチゴ属植物を収集・保存し、西南暖地で栽培しやすい品種の育成について研究しています。

オリーブの暖地栽培技術の開発

オリーブオイルに含まれるオレイン酸などの食用油の健康機能性が注目されています。しかし、そのほとんどは輸入に頼っています。私たちは南九州地域でのオリーブ生産の可能性について調査し、その果実や葉の機能性評価について研究しています。

花卉分野

花粉の働き

効率的な品種改良や作物生産には、受精機構を理解することが必要です。私達はオス側の花粉に注目して、細胞の微細操作技術を駆使しながら、受精に至る過程を研究しています。

突然変異育種

植物では、どのようにして突然変異が生じるのかを研究することで、突然変異を利用した品種改良法(突然変異育種)の効率化を目指しています。
また、得られた突然変異体を利用することで、植物遺伝子の機能解析を行っています。花卉園芸植物にとって花の大きさは重要な形質(特徴)の一つです。私達は、花の大きさの制御に関わる遺伝子の解析を行っています。

ランの遺伝資源保存

コチョウランやシンビジュームといったランの仲間(ラン科植物)は、絶滅の危機に瀕しているものが非常に多く存在します。日本のランを中心に、貴重な植物資源の保存法の開発を試みています。